スティーブン・アダムスの「ボックスアウト」スタッツが素晴らしい
オフボールや守備での仕事に尽力するロールプレイヤーたちの貢献度をより深く知れるようになってきた。
NBAは先週、公式サイトのスタッツページに「ボックスアウト」の項目を新たに追加。その名の通り、ある選手が試合中に何度ボックスアウトをしたかをトラッキングするデータだ。ボックスアウトはバスケを始めて最初に教えられる基礎中の基礎であり、ディフェンスにおける最も重要な仕事の一つだが、リバウンドやスティール、ブロックのように公式スコアに記録されないため、ちゃんと評価されにくい部分でもあった。
以下、1試合平均ボックスアウト数の今季トップ10:
プレイヤー | BO | REB |
スティーブン・アダムス | 11.5 | 9.1 |
エネス・カンター | 9.5 | 10.7 |
デアンドレ・ジョーダン | 8.8 | 15.0 |
ロビン・ロペス | 8.7 | 4.7 |
マーチン・ゴータット | 8.6 | 8.0 |
アンドレ・ドラモンド | 8.2 | 15.7 |
ルディ・ゴベア | 7.9 | 10.1 |
エド・デイビス | 7.9 | 7.2 |
ラマーカス・オルドリッジ | 7.7 | 8.4 |
ドワイト・ハワード | 7.4 | 12.6 |
※BO=ボックスアウト、REB=リバウンド
トップリバウンダーたちの多くは、リバウンド数がボックスアウト数を上回っている。ここでとても興味深いのが、スティーブン・アダムスのデータだ。
アダムスはボックスアウト数でリーグダントツ首位だが、リバウンドは平均9.1本でリーグ18位。サンダーでは、アダムスがボックスアウトで相手のリバウンダーを抑え込むことに専念し、他の選手(特にラッセル・ウェストブルック)がリバウンドを確保するというパターンが多い。今季のウェストブルックは、平均リバウンド数(9.4本)でアダムスを上回っているが、ボックスアウト数ではアダムスの10分の1にも満たない平均0.9となっている。ポイントガードのボックスアウトが少ないのは当然のことだが、ウェストブルックはリバウンド数とボックスアウト数の差が特に大きい。
▼アダムスとウェストブルックのリバウンド(縦軸)/ボックスアウト(横軸)
アダムスが取れそうなリバウンドをわざわざ譲るようなシーンもたまに見られるため、“ウェストブルックのスタッツ稼ぎ”などと批判されることもあるが、これはサンダーの戦略だ。ウェストブルックが直接リバウンドを取ってそのままドリブルで速攻を展開する流れは、サンダーの強力な武器の一つとなっている(Cleaning the Glassのデータによると、今季のサンダーはオフェンスポゼッションの17.6%がトランジションによるもの)。
リバウンドといったボックススコアのスタッツは、その選手の評価やレガシーにも深く関わってくるので、誰でもできる限り多く見せたいと思うものだが、アダムスは気にしない。個人の成績は二の次で、チームの成功を最優先にするという姿勢が伝わってくる。もっと大きな役割が欲しいなどと不満を漏らすこともない。
なお今季のアダムスは、スクリーンアシスト数(直接得点につながったスクリーン)でもリーグ2位の数字(平均4.8回)を記録中。ボックスアウトのデータも含め、公式記録に残らないところで人一倍奮闘する理想的なチームメイトと言えるだろう。
NBAは「ボックスアウト」の他にも、各試合のボックススコアに「ディフェンス」と「マッチアップ」の項目を追加。「選手Aが何本のスリーを止めに入ったか」「選手Bにガードされた選手が何本のターンオーバーを出したか」「誰が誰から何点奪ったか」といった試合を見なければ絶対にわからなかったデータが数値化されるようになった。
Image by Keith Allison
スタッツ:「NBA」