ブレイザーズのストッツHCが名采配、「コーチ・チャレンジ」で勝利を呼び寄せる
今季NBAで試験的に導入されている「コーチ・チャレンジ」が試合の命運を分けた。
コーチ・チャレンジとは、ファウルコールやゴールテンディングなど審判の判定に対してヘッドコーチが物言いをつけることができるシステム。1試合につき1度のチャレンジ権が与えられ、審判は異議申し立てのあった判定をインスタントリプレイで再審議する。
現地27日に行われたポートランド・トレイルブレイザーズ対ダラス・マーベリックスの一戦では、テリー・ストッツHCが勝負所でこのコーチ・チャレンジを活用し、マブスのチャンスを潰した。
ブレイザーズの1点リードで迎えた第4Q残り8.4秒、マブスのドリアン・フィニー・スミスがオフェンスリバウンドからレイアップを狙った際に、それを阻止しようとしたデイミアン・リラードにファウルがコールされた。本来ならばフィニー・スミスに2本のフリースローが与えられ、マブスは逆転もしくは同点のチャンスを手にするところだが、そこでストッツHCはチャレンジを申請する。
▼チャレンジされたプレイ
このタイミングでのチャレンジ権行使は難しい采配だったに違いない。チャレンジが成功して判定が覆ればかなり有利な状況に立てるが、反対にチャレンジに失敗した場合はタイムアウトの数が1つ減ってしまうのだ。そしてこの時のブレイザーズには、タイムアウトが1つしか残されていなかった。
もしチャレンジが失敗に終わってマブスに逆転されれば、ブレイザーズはラストポゼッションの作戦を立てることができず、さらに残り8秒でベースラインのインバウンズから点を取りに行かなければならない。
だがストッツHCの采配は見事に功を奏した。リラードへのファウル判定はノーコールへと覆り、マブスのフリースローは取り消し。ブレイザーズはそのまま最後までリードを維持して勝利を掴んだ。
コーチ・チャレンジがここまで大きく勝敗に影響したのは今回が初めて。開幕最初の1週間では、ほとんどのコーチがチャレンジを序盤から中盤で消費しているが、よほどのことがない限り、終盤まで取っておくのが得策なのかもしれない。
なおストッツHCは、あのタイミングでコーチ・チャレンジを使うことに最初は躊躇していたとのこと。“リラードの後押し”があったから決断に踏み切れたようで、試合後のインタビューで「もしデイム(リラード)があそこまで頑固でなければ、私は恐らくチャレンジを使わなかっただろう」と告白している。
一方でリラードは、最初から判定が覆ることを確信していた様子。ストッツHCに「信じてくれ」と何度も訴えかけたそうだ。
「僕はベンチまで歩いて行き、『コーチ、僕を信じてくれ。絶対にボールにしか触れていない』と訴えた。するとコーチは『タイムアウトが1つしか残っていない』と躊躇していたので、だから僕はもう一度言った。『ボールしか触ってない』。そこでようやくコーチはチャレンジを申請してくれた。試合後ロッカールームに戻るトンネルで、僕はコーチにこう言ってやった、『これで信用してもらえるよね。嘘はつかなかったでしょ?』」
– デイミアン・リラード
スターデュオ対決
勝利したブレイザーズ(2勝1敗)は、マックスサラリーのバックコートコンビが大活躍して、前半で最大19点ビハインドに陥ったチームを牽引。CJ・マッカラムがゲームハイの35得点、リラードが28得点を記録し、2人とも正念場でビッグショットを決めた。
▼ハイライト
今季初黒星となったマブス(2勝1敗)は、若手スターデュオの2人がデイム&CJに引けを取らないパフォーマンスを披露。クリスタプス・ポルジンギスが32得点/9リバウンド、ルカ・ドンチッチが29得点/12リバウンド/9アシストで大奮闘した。
ただ勝負所でのドンチッチは攻撃のパターンが一辺倒になってしまい、難しいステップバックスリーを立て続けに失敗。ドンチッチは試合後、「僕のせいで負けた。ショットセレクションが最悪だった。終盤での彼ら(ブレイザーズ)はチームファウルのリミットを超えていたので、僕はドライブを仕掛けるべきだった」と終盤での自身のプレイを振り返り反省のコメントを残した。
ボックススコア:「NBA」