ゴールデンステイト・ウォリアーズが3年ぶり11回目のNBAファイナル進出
ゴールデンステイト・ウォリアーズが現地5月26日、本拠地チェイス・センターで行われたダラス・マーベリックスとのウェスタンカンファレンスファイナル第5戦に120-110で勝利。シリーズを4勝1敗で勝ち抜き、2022NBAファイナル進出を決めた。
第5戦でのウォリアーズは、ティップオフからファイナルブザーまで1度もトレイルすることなく、後半の大部分で二桁リードを維持して終始主導権を掌握。第3Q終盤にマブスの14-0のランにより8点差まで迫られたが、そこから7連続得点をあげてすぐに勢いを取り戻して逃げ切った。
4勝1敗のジェントルマン・スウィープでシリーズを制したウォリアーズは、クレイ・トンプソンが8本のスリー成功からゲームハイ32得点で爆発。
トンプソンの他には、アンドリュー・ウィギンスが18得点/10リバウンド、ドレイモンド・グリーンが17得点/9アシスト、ケボン・ルーニーが10得点/18リバウンドをマーク。ウィギンスはフルコートでルカ・ドンチッチをガードする大役を立派に果たし、ルーニーは勝負所で何度もオフェンスリバウンドをもぎ取ってマブスたちの心を打ち砕いた。
ベンチからは、シックスマンのジョーダン・プールが16得点。エースのステフィン・カリーは、FG17本中5本成功の15得点とシューティングで精彩を欠いていたものの、オン/オフボールにかかわらず常にマブスディフェンスの注意を引き寄せる絶大な存在感を見せつけて勝利に大貢献している。
ウォリアーズ復活
2019年以来3年ぶりとなるファイナル進出を成し遂げたウォリアーズ。ウェスト王座奪還までの道のりは、決して平坦なものではなかった。
トロント・ラプターズに敗北した2019年のファイナルでは、ケビン・デュラントが第5戦でアキレス腱断裂、さらにクレイ・トンプソンが第6戦で左膝前十字靭帯断裂により離脱。その年のオフシーズンには、デュラントがブルックリン・ネッツへの移籍を選択する。歴代最強チームの一つとして2010年代中盤のリーグを席巻していたウォリアーズだったが、ここから苦悩の連続だった。
まず2019-20シーズンは、ステフィン・カリーが腕の骨折でシーズンの大部分を欠場。ウォリアーズは2000年以降で球団ワースト記録となる15勝50敗のリーグ最下位でシーズンを終える。
続く2020-21では、復帰間近だったトンプソンが開幕1カ月前に右アキレス腱断裂の重傷を負い、再び長期の戦線離脱が確定。カリーがMVP級の大活躍でチームを引っ張ったが、ウェスト8位シードとして出場したプレイ・イン・トーナメントで連敗を喫し、2シーズン連続でプレイオフを逃すこととなった。
今季開幕時のウォリアーズは、カリーが33歳、トンプソンとグリーンが31歳。3人ともそろそろ衰えが出始めてもおかしくない年齢であり、特にトンプソンは2年半にわたるブランクからの復帰という大きな不安要素を抱えていた。
「ダイナスティは終わった」「今のコアだけで再び優勝を狙うのは厳しい」といった悲観的な意見がメディアやファンの間で飛び交う中、ウォリアーズは現状維持と将来性を両立させながら、見事カンファレンス王者の座に返り咲く。
ウォリアーズ復活への軌跡は、アンドリュー・ウィギンスの存在抜きでは語れない。
アンドリュー・ウィギンス
2019年のオフシーズン、ウォリアーズとネッツの間でトレードが成立。ウォリアーズは当時FAだったケビン・デュラントをサイン&トレードで放出し、ネッツからディアンジェロ・ラッセルを獲得する。
ウォリアーズとしては、デュラントを見返りなしで失うシナリオを回避するためにネッツとのトレードに応じたが、ラッセルを迎え入れるのに必要なキャップスペースを確保するために、別のトレードでアンドレ・イグダーラとドラフト1巡目指名権を手放すことを余儀なくされた。
その半年後、ウォリアーズは早々とラッセルに見切りをつけ、2020年のトレードデッドラインでミネソタ・ティンバーウルブズへと放出。その見返りに、アンドリュー・ウィギンスをチームに迎え入れる。
ウルブズにいた頃のウィギンスの評価は、スコアファーストのフォワード選手で、オフボールオフェンスや守備が弱点。難しいミッドレンジジャンパーを多用するなど効率の悪いショットが多く、元ドラフト1位指名としてマックスサラリーに相応しくない選手などと言われていた。
トレード成立当初はウォリアーズシステムとのフィットが懸念され、個人的にも「第2のハリソン・バーンズ」になれれば上出来くらいに思っていたが、移籍後はサポーティングキャストとしての役割をすぐに受け入れ、3&Dプレイヤーとして進化。今季はかつてのバーンズを遥かに上回る活躍を見せ、2022オールスターのスターターにも選出されている。
ウィギンスは今年のウェスト決勝シリーズでも、マブスエースのドンチッチにフルコートでボールプレッシャーを仕掛けつつ、オフェンス面でも存分に貢献。与えられた仕事を完璧に近い形でこなしながら、得点が必要な場面ではアイソレーションスコアラーとしての能力を発揮した。
ボックススコア:「NBA」