ティム・ダンカンと幻のクアドルプルダブル・ゲーム
サンアントニオ・スパーズとニュージャージー・ネッツが対戦した2003年のNBAファイナル。スパーズの3勝2敗で迎えた第6戦は、ティム・ダンカンが21得点、20リバウンド、10アシストの大活躍でチームを勝利に導き、自身2度目のチャンピョンシップを手にした。
さらにこの日のダンカンは、当時のNBAファイナル最多記録タイとなる8ブロックを獲得(2009年にドワイト・ハワードが9ブロックで記録更新)。あと1歩でクアドルプル・ダブルだった。
もう12年も前の出来事だが、この試合の映像を再確認してみると、どうやらダンカンのブロックが少なくとも1つカウントされていないらしい。海外掲示板RedditのNBA板で議論を呼んでいる。
▼2003年ファイナル第6戦
この日のボックススコアに記録されたダンカンのブロックは以下の8つ:
1.第1Q9:41(動画0:39)
2.第1Q9:00(動画1:16)
3.第1Q2:01(動画1:53)
4.第2Q5:02(動画3:42)
5.第2Q2:39(動画4:45)
6.第4Q8:22(動画6:38)
7.第4Q6:52(動画6:51)
8.第4Q4:22(動画7:48)
そして、ブロックか否かで議論になっているのは次の2つのプレーだ。
まずは第3Q残り6分43秒(動画5:38)。ダンカンがケリー・キトルズのレイアップを弾いているように見える。何故かこれはシュートアテンプトとみなされなかったため、ノーカウントに終わった。
もう1つは少し無理やり感があるが、第3Q残り4分43秒(動画5:57)のプレー。ケニオン・マーティンのゴール下ショットを、ダンカンが背後から、ロビンソンが正面から挟み撃ちでコンテストしている。
映像が雑なためはっきりと確認できないが、2つ目はロビンソンのブロックが正しい判定だろう。だが1つ目は、ダンカンのブロックとして記録するべきだったかもしれない。試合を解説をしていたビル・ウォルトンも同じ指摘をしている。
こんなことを言っても何の意味もないが、もしこの2つのブロックがダンカンに与えられていたなら、NBA史上5回目、プレーオフ史上初のクアドルプルダブル・プレーヤーが誕生していた。しかもファイナル第6戦の優勝を決めたゲームで…。
だが試合中のダンカンは、自分がとてつもない偉業達成に迫っていたことをまったく認識していなかった様子。当時の記事によると、試合後のインタビューでクアドルプルダブルについて聞かれた際に、「知らなかった。すごいね」とコメントしたという。
全盛期のダンカンは完全に化物だった。2003年ファイナルシリーズでは、約5割のFG成功率で24.2得点、17リバウンド、5.3アシスト、5.3ブロックを平均している。
Image by Keith Allison/Flickr
Video:「YouTube」