アンドレ・イグダーラがウォリアーズとの再契約を発表、「これで最後」
ゴールデンステイト・ウォリアーズの大ベテラン、アンドレ・イグダーラが現地9月23日、自身のポッドキャスト『Point Forward』を通じてチームと再契約を結ぶことを発表。さらに2022-23シーズンいっぱいで現役に終止符を打つ旨を明かした。
イグダーラは同日に公開した“スペシャル・アナウンスメント”のエピソードの中で、「キャリア19年目も現役続行する決断をしました」と宣言。
今夏には現役引退に気持ちが傾き、オフシーズンを通してほとんどバスケをしてこなかったというイグダーラ。トレーニングキャンプ直前で復帰を決断したのには、チームメイトや球団スタッフたちからの説得が大きな理由の一つになったらしい。
「僕が直前で気変わりしたのはステフ・カリーのせい。ドレイモンド(グリーン)やクレイ(トンプソン)、スティーブ(カーHC)、そしてボブ・マイヤーズ(GM)も一緒。彼らは僕にたくさんのラブコールを送ってくれた。オフコートにおける僕の役割の大きさを教えてくれた。それから『君にはコート上でも活躍してもらう必要がある』と説得してきたのがスティーブ。そこに関してはドレイモンドも同罪だ」
シックスマンとして王朝ウォリアーズの5年連続ファイナル進出のコアメンバーとなったイグダーラは、2019年のオフにケビン・デュラント/ディアンジェロ・ラッセルのトレードを成立させるためのサラリー調整要因として他チームに移籍。2021-22シーズンにFAでウォリアーズに復帰し、チームの4年ぶりの優勝に貢献した。
▼昨季11月の試合ではベンチから10アシストの大活躍
昨季のイグダーラは、31試合の出場で4得点、3.2リバウンド、3.7アシスト、FG成功率38%を平均。2月のオールスターブレイク以降は怪我の影響もあって5試合しかプレイしておらず、プレイオフでもわずか7試合の出場と、以前と比べてオンコートでの活躍の機会が激減したが、ロッカールームでのメンターやムードメーカーとしてチームに欠かせない存在だった。
ウォリアーズGMのボブ・マイヤーズは、イグダーラをチームに置く価値を100%理解している1人。先週の記者会見では、大ベテランの存在感とその影響力を大絶賛している。
「彼はオンコート/オフコートの両方でたくさんの仕事をしてくれる。彼ほどの安心感とリーダーシップをチームにもたらしてくれる選手は滅多にいない。私やスティーブ(カーHC)でさえ、彼に相談を持ち掛けることがある。彼はとても賢く、チームをよく理解している。彼こそが真のプロだ」
– ボブ・マイヤーズGM
▼イギーのベストプレイ集
ラストシーズンへの抱負
ついに来季で20年近くにわたる長いNBAキャリアを終える予定のイグダーラ。ラストシーズンに向けた抱負の1つは、遠征で訪れるいろいろな都市を満喫することだという。
「僕はこれまでに遠征で海外に行った時も、観光を楽しんだことが1度もない。常に100%バスケットボールに集中していたからね。例えば、2010年FIBAワールドカップの舞台だったイスタンブール(トルコ)は僕のお気に入りの都市の一つだが、その時はコービーに習ってバスケにすべてを注いでいたので、“本当のイスタンブール”を体験することができなかった」
「オリンピックでロンドン(2012年)に行った時も同じ。またイベントで何度も中国を訪れているが、未だに本当の意味での中国という国を体験できていない。当時はバスケがすべてだった。だから来季こそはシーズン中に訪れる各都市で、これまでに経験できなかったことをしてみたい」
ミュージアムやレストランなどを含め遠征先の様々なスポットを存分に楽しみたいとしながらも、イグダーラは決して旅行ツアー気分でラストシーズンに臨むわけではない。来季もこれまでと同じく、可能な限りプレイタイムを得られるよう真剣にワークアウトやコンディション維持に取り組みつつ、若手選手たちの指導と育成にも尽力したい、とトレーニングキャンプに向けた意気込みを語った。
「チームメイトたちとの最後のバスライドやフライトを楽しみたいと思う。ただ引退気分でシーズンに臨むような真似はできない。だから来季もこれまでと変わらず自分のやり方を貫く。ワークアウトには一番に顔を出してしっかりと練習を積み、できるだけプレイタイムを稼ぎたいと思っている」
「でも同時に、ジョナサン・クミンガやモーゼス・ムーディーら若手たちに発破をかけてやるつもりだ。彼らにはこう言ってやるよ、『もし俺がコートに立てるなら、それはお前たちの力不足によるものだ。俺がコートに立つ機会がなくなるほど(自分がもっとコートに立てるよう)、もっと努力しろ』とね。若手たちにそう言い聞かせることで、僕がいなくなっても問題のないチームになれると思う」
またイグダーラが昨季、さらに今夏にウォリアーズに復帰する決断をしたのは、ステフィン・カリーの影響が最も大きかったとのこと。「カリーのレガシーに貢献したい」「カリーの全盛期を無駄にしたくない」という気持ちが強かったらしい。
ウォリアーズが昨季に4年ぶりの王座奪還を達成した時点で「よし、やり切ったぞ」と思ったそうだが、今オフに「あと1年だけいてくれ」と懇願するカリーを拒否できなかった模様。YouTubeに公開したポッドキャストエピソードの最後に、「いいかステフ、これで最後だからな」と釘を刺して現役続行のスペシャルアナウンスメントを締めくくった。
▼昨季カリーはついにキャリア初のファイナルMVP選出
GSWの2022-23デプスチャート
今オフのウォリアーズは、ゲイリー・ペイトン二世やホワン・トスカーノ・アンダーソン、オット・ポーターら、優勝に貢献したサポーティングキャストと決別。その代わりに、FAでガードのドンテ・ディビンチェンゾやフォワードのジャマイカル・グリーンと契約を結び戦力補強を図った。
今回のイグダーラの再契約を含めると、来季2022-23シーズンのデプスチャートは以下の通り:
- PG:ステフィン・カリー、ジョーダン・プール
- SG:クレイ・トンプソン、ドンテ・ディビンチェンゾ、モーゼス・ムーディー
- SF:アンドリュー・ウィギンス、アンドレ・イグダーラ
- PF:ドレイモンド・グリーン、ジョナサン・クミンガ、ジャマイカル・グリーン
- C:ケボン・ルーニー、ジェイムズ・ワイズマン
“エースキラー”だったペイトンの守備力を失ったのは痛いが、オフェンス面でよりスプラッシュブラザーズとの相性が良さそうなオールラウンダーのディビンチェンゾが加入。若手陣の成長次第では、来季の優勝最有力候補になれる強力なロスターだと思う。
特に、怪我でキャリア最初の2シーズンが台無しになった元ドラフト2位指名のジェイムズ・ワイズマンがどんなプレイを見せるのか楽しみだ。
ソース:「Point Forward」