オールスターのバム・アデバヨ、親指の靭帯損傷で4~6週間の離脱へ
マイアミ・ヒートが現地12月1日、センターのバム・アデバヨが右手親指の手術でチームを離脱することを発表した。
アデバヨが負傷したのは、現地11月29日に行われたデンバー・ナゲッツ戦。試合後には「何ともない」とコメントしていたが、2日後に受けた検査で右手親指の尺骨側副靭帯(UCL)断裂と診断されたようだ。
ヒートの発表によれば、アデバヨは今週末に靭帯の修復手術を予定しているとのこと。復帰時期については手術後に知らせるとあるが、ESPNのエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が関係者から得たという情報によれば、4週間から6週間の戦線離脱が見込まれているという。
他の怪我と同様、UCL断裂での離脱期間は選手によって差があり、リハビリが7週間に及ぶ場合もある。反対に早く回復したケースだと、2017年のクリス・ポールが手術から39日(14試合の欠場)でロスターに戻ってきた。
今季5年目のアデバヨは、開幕18試合でキャリア最多の18.7得点、10.2リバウンドを平均。リーグトップクラスのツーウェイ・センターとして攻守で活躍していたが、この時期に1カ月以上の離脱となると、今季オールスター選出は難しくなりそうだ。
▼シーズンハイ19リバウンド
ヒートのC不足問題
もともとビッグマンのデプスが薄かったヒートにとって、アデバヨの長期離脱は大打撃。特にセンターローテーションは、これまでアデバヨとドウェイン・デッドモンの2人に頼りきりになっていた。デッドモンが先発Cに入るとして、バックアップセンターの時間(20~25分)はどのようにして埋めるのだろう?
今のヒートの3番手と4番手のセンターは、新人のオマー・ヤートセブンと41歳のユドニス・ハスレム。ヤートセブンはサイズと得点力があるものの、まだプレイオフチームで10分以上を任せられるレベルにはなく、ハスレムもここ2シーズンでの出場がわずか5試合とほとんどフロアに立っていない。
スモールラインアップの時間帯を大幅に増やすのも一つの手だ。今季ヒートのロスターには、2017-18シーズン後半のヒューストン・ロケッツで先発Cを立派に務め上げたPJ・タッカーがいる。当時のロケッツは、身長198cm以上の選手が1人もいないスーパースモール・ラインアップを軸にして好成績を収めた。
タッカーの身長は196cmで(ジェイムス・ハーデンやデビン・ブッカーと同じ)、本来ならビッグマンとしてカテゴライズされないサイズの選手。誰にも当たり負けしないパワーを持っているため、センターとしてもある程度は通用していたが、常にアンダーサイズの中で体を張ったプレイを強いられるため、体力の消耗は相当なものだっただろう。
なおタッカーがシーズンの20%以上をセンターとしてプレイしたのは、2019-20と2020-21前半の1シーズン半のみ。バックスの一員として初優勝を達成した昨季は、プレイタイムの96%がフォワードポジションとしてだった。ヒートがスモールラインアップで成功するには、現在むち打ちで離脱中のマーキーフ・モリスの復帰が必須となりそうだ。
またヒートには、FAやトレードで戦力補強する選択肢もある。デマーカス・カズンズはバックスに取られてしまったが、今季フリーエージェント市場にはまだアーロン・ベインズやビスマック・ビヨンボといったベテランビッグたちがいる。ただヒートがどんなアジャストをしようとも、ディフェンス面でアデバヨの穴を埋めるのは不可能だろう。
ヒートは守備効率(100ポゼッションあたりの失点)で今季リーグ10位。ディフェンスで高水準を維持できているのは、リムからペリメーターまで守れるアデバヨの万能さがあってこそだ。
ESPNによると、今季のヒートは相手チームのピック&ロールに対し、アデバヨがセンターの場合は43%の割合でスイッチしているが、デッドモンの場合はわずか4%。エリック・スポールストラHCは、平面の機動力に劣るデッドモンがセンターのラインアップ時にゾーンディフェンスを仕掛けることが多い。
オマー・ヤートセブンとユドニス・ハスレムも、スイッチディフェンスには向いていない選手。ヒートがアデバヨの離脱期をどう乗り切ろうとするのか注目したい。
参考記事:「NBA」