ファイナル2021:ヤニスとホリデーが正念場でスーパープレイ、バックス第5戦勝利で優勝に王手
ミルウォーキー・バックスが現地17日、フットプリント・センターで行われたフェニックス・サンズとのNBAファイナル2021第5戦に123-119で勝利。シリーズ0勝2敗から3連勝をあげ、半世紀ぶりとなるリーグ制覇に王手をかけた。
第5戦でのバックスは、ヤニス・アデトクンボが32得点、9リバウンド、6アシスト、クリス・ミドルトンが29得点、7リバウンド、5アシスト、ドリュー・ホリデーがが27得点、13アシスト、3スティールで大活躍。今季における最も大事な試合で、“ビッグスリー”がそれぞれの良さを最大限に発揮する最高のパフォーマンスを見せた。
ESPNによると、NBAファイナルの試合で同じチームのトリオがそれぞれ25得点/FG成功率50%をマークするのは、1985年のロサンゼルス・レイカーズ(マジック・ジョンソン、カリーム・アブドゥル・ジャバー、ジェームズ・ウォージー)以来初だという。
第1Q終了時で16点ビハインドと、立ち上がりの悪かったこの日のバックスだが、第2Q開始から7連続得点で息を吹き返すと、前半の内に早くも逆転に成功。後半に入ってからもバックスオフェンスの勢いは衰えず、第4Q序盤には最大で14点リードを奪取して完全にゲームの主導権を握った。
このままバックスが畳み掛けるかに見えたが、ホームチームのサンズは10点ビハインドで迎えた第4Q残り3分半から怒涛の猛反撃を展開。クリス・ポールとデビン・ブッカーのガードコンビが順番にビッグショットを決め、試合残り時間1分を切ったところで1点差にまで迫る。
「ザ・アリウープ」
第4Q残り2分23秒にミドルトンがスリーを決めて以降、2分以上にわたりスコアが停滞してしまったバックス。1点差まで迫られた残り30秒にもショットに失敗し、サンズに逆転決勝弾のチャンスを与えてしまう。
そんな最悪の流れの中、ドリュー・ホリデーが攻守で値千金のビッグプレイを決め、バックスに勝利をもたらした。
絶妙なタイミングで背後から忍び寄り、デビン・ブッカーからボールをスティール。この状況でクリス・ポールのマークを離れてヘルプにいくというのは、かなり度胸のいる決断だ。
スティールから、すぐさまハーフコートまでボールを運んだホリデー。そのままファウルされるまでボールをキープするかと思いきや、全力疾走でコートを縦断してきたアデトクンボに合わせてまさかのロブパス!
現地にいた選手やコーチ、観客を含め、試合を観ていたあらゆる人の想像をはるかに上回るミラクルプレイだったと思う。NBAファイナル第5戦のクラッチタイムという絶対にミスが許されない状況で、失敗を恐れることなく大胆に攻めたことが勝利につながった。
▼そうして、NBAファイナル史に残る奇跡の一枚が誕生
コートサイドでプレイを見守るレブロン・ジェームズ(ヘビ柄シャツ)、そして顔をそむけるサンズファンの姿がとても印象的だ。
個人的に、ホリデーとヤニスのアリウープは、カワイ・レナードのシリーズウィナー(2019年イースト準決勝第7戦)に匹敵するレベルの衝撃だった。
昨季オフのバックスは、ホリデーを獲得するために、2025年と2027年の保護なし1巡目指名権を含む大量のアセットを放出:
- 2020年一巡目(24位指名)
- 2025年一巡目(保護なし)
- 2027年一巡目(保護なし)
- 2024年、2026年スワップ権
トレード成立当初は、高すぎる買い物だという否定的な意見も多く見られたが、今回のスティール&ロブパスだけでも、すでに十分な見返りを得られたと言っても良いと思う。
▼終盤の攻防
一方で敗れたサンズは、デビン・ブッカーがゲーム最多の40得点で大奮闘。サンズの選手がプレイオフで2試合連続40得点以上をマークするのは、ブッカーが球団史上初となる。
ブッカーの他には、エイトンが20得点/10リバウンドのダブルダブルを記録。クリス・ポールは21得点/11アシストと上々なスタッツをマークするも、第4Q以外はやや存在感が薄かった印象だ。
バックスとサンズのファイナル第6戦は、現地20日にミルウォーキーで行われる。
ボックススコア:「NBA」