レイジョン・ロンドがウェスタンカンファレンスへ
ボストン・セルティックスが現地18日、ダラス・マーベリックスとの間でレイジョン・ロンドのトレードに合意した。チームの発表によると、セルティックスはロンドとフォワードのドワイト・パウエルを放出。マブスからブランダン・ライト、ジャミアー・ネルソン、ジェイ・クロウダーの3選手とドラフト指名権を2つ獲得する。
トレード成立後、ロンドはチームやファンたちに向けてメッセージを発信:
「ボストンで過ごした歳月は僕にとってかけがえのないもの。この街でバスケットボール選手として、そして人間として成長してきた。僕はリーグで最も忠実かつ熱狂的なセルティックスのファンたちをこれ以上なく愛している」
「ダークやモンタ、タイソン、そしてチャンドラーのような選手たちと一緒にプレーできるというのはとてもエキサイティングだ。ダラスで何か特別なことを達成できるのを楽しみにしている」
マブスにとって、リーグトップクラスのピック&ロールビッグマンであるブランダン・ライトを失なったのは非常に痛い。手薄になった控えフロントコートの補強として、ジャーメイン・オニールの獲得を検討しているという情報もあるが、どの道タイソン・チャンドラーへの負担は大きくなるだろう。
それを考慮しても、3人のロールプレーヤー+ドラフトピックがロンドに変わった今回のトレードは、マブスにとってお得なディールだったのかもしれない。まず、ウォリアーズやクリッパーズ、サンダーなど他のウェスト強豪チームと比べて頼りなかったPGポジションが強化されることとなった。ロンドはジャミアー・ネルソンから確実なアップグレードになるはずだ。
もちろんリスクはある。ロンドはACL断裂を経験した28歳のシュートが苦手なガード。ボールムーブメントやスペーシングが命のマブスオフェンスで持ち味が出せるかどうかは今のところ未知数だ。守備面でも、ここ数年のロンドは昔のような鬼気迫るディフェンスを見せていない(衰えというよりも、モチベーションの問題かも)。
やはり気になるのは、モンタ・エリスとどのようにして共存するのかという点。2人ともボール保持時間が長く、ドリブルペネトレーションからオフェンスを作り出すタイプで、ミドル~ロングレンジのキャッチ&シュートには向いていない。
これまではエリスがボールをコントロール、ネルソンがスポットアップという形でバックコートが上手く機能していた。だがテリトリーのかぶる2人、特にアウトサイドが打てないロンドとフロアをシェアすることになれば、マブスの大きなアドバンテージだったスペーシングが崩れてしまう心配がある。
ロンドをオフ・ザ・ボールで使うのはまったくの無意味だ。かといって、あれだけ素晴らしいプレーメイキングを見せてきたエリスからボールを取り上げるのも良いアイデアとは思えない。
とはいえ、ロンドはバスケットボールIQが非常に高く、アンセルフィッシュなプレーヤーだ。マブスの弱点であるリバウンド面で貢献するだろうし、ディフェンスリバウンドからのトランジションでも的確な判断でノーマークのプレーヤーを必ずみつけてくれる。
何よりもロンドは大舞台で一段と輝きを増す選手。プレーオフになれば、ラッセル・ウェストブルックやステファン・カリー、クリス・ポールなどのエリートPGらと互角にマッチアップして、攻守両面でチームに大きなインパクトを与えるに違いない。これはマブスの他のPGには極めてハードルの高い困難な仕事だ。
▼プレイオフ版の覚醒ロンド
さらにマブスにはリック・カーライルという名将がいるので、チームに揃った優秀な才能を上手く機能させる方法を何とかして見つけ出すことだろう。
不安要素はあるものの、ロンド、エリス、パーソンズ、ノビツキー、チャンドラーのスターティングラインアップは確実にリーグトップクラス。ウェスタンカンファレンスはこれで一層の激戦区となる。ロンドの加入により、すでにNBAナンバー1のマブスオフェンスがどのように変化するのか非常に楽しみだ。
一方のセルティックスは、これで2008年チャンピョンシップの最後のメンバーに別れを告げることになり、完全な再建モードに入った。ちょうどいい時期、むしろ遅すぎたくらいだ。今回のトレードも見返りがやや少ないようにも見えるが、今季で終了するロンドの契約やチームの状況を考えれば、可能な限りのアセットを引き出せたと言える。
個人的には、これ以上ロンドが下位チームで全盛期を消耗するよりも、再び優勝を狙えるチームで活躍できることを嬉しく思う。
Photo: Mark Runyon |BasketballSchedule.net
ソース:「ESPN」