チャンシー・ビラップスがNBA引退を決意
2004年ファイナルMVPのチャンシー・ビラップスが、ついに17年のNBAキャリアに幕を下ろす。
オフシーズンにデトロイト・ピストンズから契約延長を断られ、無制限FAとなっていたビラップス。一時はキャブスへの移籍を目指すことも考えたそうだが、体の状態を考慮した上で引退するべきという結論に達したようだ。
「引退すべき時が来たんだ。続けたいという気持ちや意思はまだ強い。だけど、ここ3年間ずっと怪我に悩まされてきたという現実を無視はできない。もう一度挑戦して、やれるかもしれないと思えるところまで自分を持っていくことはできるだろう。だが体がもたない。本来の実力で思うようなプレーができない…、そこで引退すべき時が来たということを実感するんだ」
– チャンシー・ビラップス
昨年オフシーズンに古巣ピストンズへと復帰したビラップスだが、ひざの怪我により、昨季はわずか19試合の出場にとどまった。
ミスター・ビッグショット
ビラップスは1997年NBAドラフトの全体3位指名でボストン・セルティックスに入団。デビューから最初の数シーズンは、肩の故障や度重なる移籍で自分のプレースタイルを確立するのに苦労し、不遇の時代を送っていた。だが、2002年のオフシーズンにピストンズへと移籍したのをきっかけに、ポイントガードとしての才能を一気に開花させる。
2004年にはチームの司令塔としてピストンズを14年ぶりの優勝に導き、ファイナルMVPを受賞。試合の大事な局面で幾度となくシュートを沈めてきたことから、ビラップスには「ミスター・ビッグショット」というニックネームが付いた。
▼ビラップス、ピストンズ時代のハイライト
以下、ビラップスの輝かしい功績:
- オールスター選出5回(2006~2010)
- オールNBAセカンド・チーム(2006)
- オールNBAサード・チーム2回(2007、2009)
- NBAオールディフェンシブ・セカンドチーム(2005、2006)
- NBA制覇(2004)
- ファイナルMVP(2004)
- FIBAワールドカップ金メダル(2010)
さらにビラップスが在籍していた時代のピストンズは6年連続でカンファレンスファイナル進出を果たしている。ラシード・ウォレスやベン・ウォレス、リチャード・ハミルトン、テイショーン・プリンスなど、個性的なメンバーが絶妙なバランスでブレンドした当時のチームは人気を博し、イーストの常勝軍団と呼ばれた。ディフェンスでチャンピョンシップを勝ち取れるということを証明してみせたチームでもある。
ビラップスの最大の魅力は、その判断力や統率力、勝負強さ、そして常に良きチームメイト/指導者であり続けたことだろう。引退ニュースの報道後、ロサンゼルス・クリッパーズのクリス・ポールは、Instagramからビラップスに向け祝福のメッセージを送った:
「えーっと、最初に言わせてくれ。普段の僕は、ライバルやチームメイトの引退で感情的になるような人間じゃない。だけど今回は少し違う!みんな知っての通り、僕には血のつながった素晴らしい兄がいる。とても幸せなことだ。そして僕が若手だった頃、いわゆる『NBAファミリー』を持ち始めたとき、僕はもう一人の兄に恵まれた!容赦のない競争、そして残念ながら時に嫉妬やねたみが充満するこのリーグにおいて、あのベテランガードは僕の面倒をよく見てくれ、プロフェッショナルであることの意味を教えてくれた。そして後に続く後輩たちを常に手助けするようにと、僕に言い聞かせてくれた。チャンシーと共に(クリッパーズで)プレーできると知らされた夜は、僕のキャリアにとってのハイライトの一つだ!あの人について語りだすときりがないので、この一言で締めくくろう。ありがとう、ミスター・ビッグショット!!!あなたの殿堂入りセレモニーが行われるときは、ぜひ僕もその場にいたい!」
– クリス・ポール
ビラップスの引退により、2004年ピストンズ優勝チームのメンバーで現役を続けているのはプリンスだけになってしまう。そう考えるとすごく寂しい…。
Image by Erik Daniel Drost/Flickr
ソース:「YahooSports」