デンバー・ナゲッツが11年ぶりのウェストファイナル進出!
デンバー・ナゲッツが再び奇跡を起こした。
ナゲッツは現地15日、ロサンゼルス・クリッパーズとのウェスタンカンファレンス・セミファイナル第7戦に104-89で圧勝。第5戦から3連勝をあげてシリーズを制し、ウェスト決勝進出を決めた。
ナゲッツがカンファレンス・ファイナルに出場するのは、カーメロ・アンソニーとチャンシー・ビラップスがチームを率いた2008-09シーズン以来11年ぶりだ。
56-54の2点差でハーフタイムに突入と、大接戦になるかと思われたナゲッツとクリッパーズの第7戦だが、後半からは過去2試合とまったく同じ展開。第3Qからクリッパーズが何らかの理由で再び大失速し、その隙にナゲッツが完全に主導権を握る。
第3Qを28-18で上回ってリードを奪ったナゲッツは、第4Q最初の4分30秒間でクリッパーズを無得点に抑える好守備を見せ、点差を二桁に拡大。そのまま最後までクリッパーズに反撃のチャンスを与えなかった。
ナゲッツは、ジャマール・マレーがゲーム最多の40得点をマーク。ニコラ・ヨキッチが16得点、22リバウンド、13アシストでトリプルダブルを達成した。
史上初の快挙
第4戦終了時の1勝3敗という絶望的な状況から、大番狂わせを演じたナゲッツ。1-3ビハインドからの逆転勝利は、NBAプレイオフ史上で同シリーズでのナゲッツが13回目だ。
またナゲッツは、今年の第1ラウンドでもユタ・ジャズに1勝3敗から逆転。1-3カムバックを同じプレイオフで複数回達成したチームは、ナゲッツがNBA史上初だという。
シリーズ開幕前の予想では、ESPNのアナリスト19人全員がクリッパーズをピック。誰一人として第7戦突入すら予想していなかった。
ナゲッツにとっては、球団史を代表する大金星だったと言える。
失望のシーズン
一方で敗れたクリッパーズは、オフェンスのリズムを掴めず再び100点未満に終わり、チームハイがモントレス・ハレルの20得点。
カワイ・レナードがFG22本中6本成功の14得点、ポール・ジョージがFG16本中4本成功の10得点と、シーズンで最も大事な試合におけるスター選手のパフォーマンスとしては完全に赤点だった。
クリッパーズは、今年で球団設立50年目。まだ1度もウェスタンカンファレンス進出を果たせていない。多くを犠牲にしてスーパーデュオを結成し、今年こそはと臨んだシーズンだったが、それでも駄目だった。
開幕前には、GMアンケート調査でも優勝最有力候補とされていた今季クリッパーズ。それがこんな残念な形で終わるなんて…。
2015年のウェスト準決勝でも、ロケッツ相手に3勝1敗からシリーズ敗北を喫したが、ファンたちやオーナー陣からすれば、期待値が大きすぎただけに、今回の方が失望感やダメージは遥かに大きいと思う。
今季のクリッパーズはなぜ大失敗に終わったのか?
ロスター自体は間違いなくリーグトップクラス。去年のファイナルMVP(レナード)に、昨季MVP投票3位のスター(PG13)。シックスマン賞受賞者が2人(ルーとハレル)がいて、今季オールディフェンシブチームも2人(レナードとビバリー)いる。
さらにコーチング陣も、ドック・リバースHCだけでなく、アシスタントコーチにサム・キャセールやタロン・ルーなど、優勝経験が豊富。それでも、今年もまたカンファレンス・ファイナルに届かなかった。
優勝を狙えるピースは揃っているものの、今季のクリッパーズはイマイチまとまりがなかった印象。チームとしてのアイデンティティを確立できていない。
オフェンスでは、レナードやジョージ、ルー・ウィリアムズのピック&ロールやアイソレーションなど、個人技に頼りきり。特にナゲッツとのシリーズでは、大事な局面で使えるセットプレイ、さらにそれを止められた時のセカンドオプションなどがほとんど見られなかった。
昨年オフでのクリッパーズは、今のスーパースターデュオ結成のために、あまりにも多くの“未来”を犠牲にしている:
▼ポール・ジョージ獲得で放出したアセット
- 2022年、2024年、2026年のドラフト1巡目指名権
- ヒートの2021年と2023年ドラフト1巡目指名権(23年はトップ14保護付き)
- 2023年と2025年の1巡目指名権スワップ
- ダニーロ・ガリナリ
- シェイ・ギルジアス・アレクサンダー
レナードとジョージの残り契約は実質あと1年(2021-22は2人ともプレイヤーオプション)。もし来年のオフにレナードと再契約できなければ、クリッパーズはかなり悲惨な暗黒期に突入することになる。
来季は絶対に失敗は許されない。
ボックススコア:「NBA」