ジェイソン・テリー、「ハーデンとクレイ・トンプソンとでは格が違う」
「現リーグのベストSGは誰?」 この質問に対して、まずジェイムス・ハーデンの名前を思い浮かべるNBAファンは多いだろう。
昨季は82試合で29.0得点、7.5アシスト、6.1リバウンドを平均。守備面でのミスを批判されることもしばしばあったが、あれだけオフェンスを一身に担いながら、チームをプレーオフへと導いたシューティングガードは、恐らく近年では全盛期のコービー・ブライアントやドウェイン・ウェイドくらいだろう。
その一方で、まだまだ少ないかもしれないが、ゴールデンステイト・ウォリアーズのクレイ・トンプソンがナンバーワンSGだという声も出ている。1ピリオド37得点の大記録をはじめ、オフェンスの爆発力は証明済み。プレーオフでも、ステファン・カリーが怪我で不在だった昨季第1~第2ラウンドの7試合で28.6得点を平均するなど、立派にエース役をこなしている。
さらにディフェンスでも、カリーに代わってラッセル・ウェストブルックやデイミアン・リラードらリーグのトップPGをガードしたりと、ウォリアーズのシステムにとって欠かせない存在だ。2016年のオールNBAチームに選出されたのも、ハーデンではなくトンプソンだった。
今後も各地で議論されるであろう「ハーデンvsトンプソン」だが、今夏FAでミルウォーキー・バックスの一員となった大ベテランガードのジェイソン・テリーは、このトピックに関して揺るぎない答えを持っている。大差でジェイムス・ハーデン。先日出演したラジオ番組で、「比較すること自体がおかしい」と言わんばかりの強いトーンで意見を語った。
「(トンプソンは)何もリードしていない!彼はシュートが入らない時に、一体どれだけチームに貢献できる?昨年のジェイムス・ハーデン対クレイ・トンプソンの映像を見て、ジェイムスが何をしたかを確認すればいい。ジェイムスがトンプソンをドリブルで抜き去る度に、カバーに入っていたのはドレイモンド・グリーンとアンドリュー・ボガットだ。今季はそれがどうなるだろうね」
▼ハーデンvsクレイ
テリーは、元チームメイトのハーデンがそれだけ突出したプレーヤーだと考えているだけで、決してクレイのアンチというわけではない。クレイのスキルは十分に評価している。
「クレイ・トンプソンを嫌っているわけじゃない。ただ、ジェイムスと比べるとなれば、格が違うというだけだ」
「正直、クレイはステフ(カリー)よりも優れたシューターだと思っている。クレイ・トンプソンは素晴らしい選手だ。彼のジャンプショットはピュア。ただただ美しい」
なおNBA.comの2016-17シューティングガード・ランキングでは、1位がハーデン、2位がトンプソンとなっている。昨季はその逆で、トンプソンが1位だった。
▼ハーデンvsクレイ2015-16
J.ハーデン | K.トンプソン | |
得点 | 29.0 | 22.1 |
アシスト | 7.5 | 2.1 |
リバウンド | 6.1 | 3.8 |
スティール | 1.7 | 0.8 |
ターンオーバー | 4.6 | 1.7 |
FG% | 43.9% | 47.0% |
3P% | 35.9% | 42.5% |
AサイドとBサイド
またテリーは、NBAのオールスターたちを「Aサイド」と「Bサイド」の2グループに分けて評価。トンプソンとスパーズのカワイ・レナードについては、現時点でBサイドの選手だとコメントした。
「ハーデンはAサイドのプレーヤーだ。そしてBサイドは、カワイ・レナードやクレイ・トンプソンといた選手だ。Bサイドの意味は、サポーティングキャストだけどベンチプレーヤーではない選手たち。Aサイドはスーパースターであり、偉大な選手たち。レブロン・ジェイムスやジェイムス・ハーデン、ラッセル・ウェストブルック、ステファン・カリー、クリス・ポールだ」
2年連続DPOYで、昨季オールNBAファーストチームに選ばれた選手がサポーティングキャストとは、なかなか厳しい。ただ、スーパースターという点で見ると、レナードが現時点でレブロンやカリー、ハーデンのレベルに達しているかと言われれば、あと一歩という気がする。
グリーク・フリーク
さらにテリーは、新しいチームメイトで、来季の躍進に大きな期待がかかるヤニス・アデトクンボについてもコメント。「もうすぐリーグのトップ10プレーヤーになる」と大絶賛した。
「(昨季のヤニスは)スロースタートだったが、シーズンが進むにつれて、本領を発揮していった。スタッツを積み上げ、オールスター・ブレイク後に5回以上のトリプルダブルを記録した唯一の選手となった。チームの成功には繋がらなかったかもしれない。だが、あの若者のスターとしてのポテンシャルは明らかだ。攻守で活躍しながら、スタッツを積み上げる。得点、リバウンド、アシストのすべてでね。そして僕がすごく高く評価しているのは、彼がチームメイトからより良いプレーを引き出せるところだ。さらに1番から5番までガードすることができる」
「ヤニスはリーダーだよ。僕はこっち(ミルウォーキー)に来て3日になるが、まだ彼よりも先に練習場に到着したためしがない。朝だろうが、夕方だろうが、いつも彼に先を越されている。奴は努力家だ。ワークアウトの直後も、スコッティ・ピッペンやショーン・マリオンら歴代フォワードの映像を見て勉強している。彼のような若者を近くで見られるのは最高さ。誇らしく思う」
「ヤニスは今季のオールスターになる。そしてバックスをプレーオフへと導いてくれるだろう。もうすぐリーグのTop10プレーヤーになるはずだ」
今月で39歳となったテリーは、来季でNBAキャリア18シーズン目に突入。キャリア通算3P成功数では、歴代3位の2169本を記録している。
Thumbnail via Milwaukee Bucks
参考記事:「Def Pan」