デュラントとパーキンスが「Mr.サンダー」議論でツイッターバトル
もう1カ月以上も前のネタなので今更感があるけど、記事を書きかけだったのを思い出したので…。
ラッセル・ウェストブルックが移籍後初めてオクラホマシティ凱旋した現地1月9日、TwitterのNBA界隈ではウェストブルックの元チームメイトであるケビン・デュラントとケンドリック・パーキンスのリプバトルが注目を集めていた。
きっかけとなったのは、パーキンスが試合前に発信した「ウェストブルックこそ『Mr.サンダー』だ」と主張するツイート。
「ラッセル・ウェストブルックはOKCユニフォームに袖を通した歴代選手の中でベストプレイヤー。これから30分後に出演するESPNのスポーツセンターでその理由を述べたいと思う。彼こそがMr.サンダーだ!」
なおパーキンスは同日に出演した『スポーツセンター』で、「ウェストブルックと5匹のライオンを同じ檻に入れたらどうなると思う?ライオンが6匹になる」と発言。通算スタッツなどを例に挙げながら、ウェストブルックが“Mr.サンダー”に相応しいとする根拠を語った。
パーキンスの最初のツイートは何てことのない番宣だったが、それに対して、まずボストン・セルティックス専属のMarc D’Amico記者が反論。この2人のやり取りが、やがて元チームメイト同士のディスり合いに発展することになる。
「OKCにおけるベストキャリアという面ではウェストブルックだろう。でもサンダーのユニフォームを着た歴代最高のプレイヤーは彼じゃない。しっかりしろよ、パーク!」
「ケビン・デュラントは(歴代OKCベストプレイヤーの座を)確実にしないままチームを去った。そしてラスがその座を手にしたんだ」
– ケンドリック・パーキンス
「ラスが手にしたその座は『プレイオフ第2ラウンド』という名前のようだね。しかも3年連続で」
「俺がサンダーにいた時は、KDもラス抜きでは第2ラウンドで敗退していたよ。これはどういうことかな?」
– ケンドリック・パーキンス
パーキンスの言う「KDがラス抜きで第2ラウンドで敗退した」のは2012-13シーズン。サンダーが初めてファイナル進出を果たした翌シーズンのことだ。
その年のサンダーはシーズン60勝の優勝候補として、1位シードでプレイオフに臨むも、ヒューストン・ロケッツとの第1ラウンド第2戦でウェストブルックが右ひざの半月板損傷により戦線離脱。何とか第1ラウンドは突破したが、カンファレンス・セミファイナルではメンフィス・グリズリーズ相手に5試合で敗退することとなった。
パーキンスのツイートから9時間後、ついにデュラントが参戦。パーキンスの主張に対し、「あのシリーズではお前が戦犯だろ」と言わんばかりのリプライをぶつける。
「そうだな。あのシリーズでは、うちの先発センターだったケンドリック・パーキンスが何と2得点、3リバウンドを平均したんだ。君が一生懸命プレイしたのは知ってるよ、チャンプ笑」
– ケビン・デュラント
なおグリズリーズとの2013ウェスト準決勝シリーズでは、デュラントは28.8得点、10.4リバウンド、6.6アシストで大奮闘。一方のパーキンスは、マーク・ガソルとザック・ランドルフのツインタワーに圧倒され、先発センターながら5試合で2.4得点/4.2リバウンド/FG成功率16.7%という散々な内容に終わった。
デュラントの手厳しいツッコミに対し、パーキンスはひとまず大人な対応:
「スタッツは事実だし、チャンプの部分も事実だな!」
– ケンドリック・パーキンス
これで丸く収まるかと思いきや、ここから2人のツイートバトルは一気にヒートアップ。パーキンスは最初のKDへのリプだけでは気が治まらなかったのか、それからわずか3分後に2016年FAの話を持ち出して反撃する:
「NBA史上で最悪の逃げをした奴が何言ってんだ!ウェスト決勝でシリーズ3勝1敗から負けて、その翌年に相手チームに移籍するとかどうなんだ?これぞ真のチャンピオンだな」
– ケンドリック・パーキンス
パーキンスが指摘したのは、NBAを震撼させた2016年FAでのデュラントのゴールデンステイト・ウォリアーズ移籍。この件に関してデュラントは各地で散々叩かれまくったし、これからもネッツもしくは他のチームで優勝するまで言われ続けるかもしれない。
デュラント自身もこの手の批判を聞き飽きていることだろう。パーキンスに向けてカウンターを放つ。
「最悪というのは、先発センターとして十分なプレイタイムを貰ったくせに何の成果も残さないことさ。俺のようにスキルを伸ばす努力をするべきだったな」
– ケビン・デュラント
デュラントは再び2013年プレイオフにおけるパーキンスの不甲斐なさを指摘。するとパーキンスの語調はさらに強くなった:
「わかった!それだけ努力したくせに、73勝9敗のチームに加入しなければ勝てなかったんだな。正直な話、お前は自分自身を本物のチャンピオンだと思えないんだろ。楽な道に逃げたことで、夜も眠れないんじゃないのか?」
ここでバトルは終了した。
デュラントとパーキンスは元チームメイトで、今でも仲が良い(はず)。パーキンス自身も数年前に、デュラントについて「弟のように思っている」と語っていた。なので今回のいざこざも、単純に元戦友がじゃれ合っていただけなのかもしれない。まあそれにしては、2人とも少しトーンがマジっぽいけど…。
なおこのツイッターバトルから半月後、パーキンスはKDに対して突然謝罪のツイートを投稿。
「マイ・ブラザー、君が大好きだと伝えたい。もし君を傷つけてしまったのだとしたら謝りたい。そして許して欲しい!」
コービー・ブライアントの死を受け、パーキンスは心を入れ替えたらしい。謝罪ツイートについて、「くだらないSNSでの揉め事で、KDとの友情や思い出をこれ以上1日でも無駄にしたくない」と説明した。
Mr.サンダーは?
以下、デュラントとウェストブルックのOKC時代(シアトル時代を除く)のスタッツと功績:
デュラント | ウェストブルック | |
---|---|---|
試合数 | 561試合 | 821試合 |
通算得点 | 1万5942点 | 1万8859点 |
アシスト | 2171本 | 6897本 |
リバウンド | 3726本 | 5760本 |
MVP | 1回 | 1回 |
オールスター | 7回 | 8回 |
オールNBA | 6回 | 8回 |
得点王 | 4回 | 2回 |
ウェストブルックは、通算得点やアシスト、リバウンド、スティールなど主要スタッツの大部分と、さらに出場試合数でOKCの最多記録を保持。対するデュラントはスリー成功数で球団歴代1位だ。
選手としてはデュラントが上かもしれない。だがMr.サンダーと呼ぶにふさわしいのはウェストブルックだろう。