“元祖Mr.トリプルダブル”がウェストブルックにエール「私の記録を抜いてほしい」
現地6日、ワシントン・ウィザーズのラッセル・ウェストブルックがトロント・ラプターズとの試合で13得点、17リバウンド、17アシストをマークし、今季34回目のトリプルダブルを達成。キャリア通算(レギュラーシーズン)では180回に到達し、NBA最多記録(181回)まであと1つに迫った。
通算トリプルダブルの記録保持者である“Mr.トリプルダブル”ことオスカー・ロバートソンは、そんなウェストブルックの大ファンらしい。
現役引退から約半世紀、82歳になったロバートソンは先日、『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に応じ、今まさに塗り替えられようとしている自身のトリプルダブル記録について言及。ウィザーズでのウェストブルックの活躍ぶりを称賛しつつ、「私の記録を追い抜いてほしい」とエールを送った。
「私はウェストブルックのプレイスタイルが大好き。活力に満ちた選手だ。彼のようなNBAを代表するスターガードが何度もトレードされたことが理解できない。ワシントンに移籍した時もそれほど活躍できないと見られていたようだが、彼は本当に素晴らしい仕事をしている」
「彼には通算トリプルダブル記録を塗り替えてほしいと心から思っている。ウェストブルックは、今のバスケ界におけるエリートガードの一人。『優勝経験がない』と彼を批判する記者たちがいるが、それは馬鹿げた話だ。1人の力だけで優勝できる選手なんていない。それを成し遂げるには、優秀なマネジメント、そして適切な人材(プレイヤー)たちが必要となる」
– オスカー・ロバートソン
現役時代のロバートソンは、1960年から1974年の14シーズンをシンシナティ・ロイヤルズ(現サクラメント・キングス)とミルウォーキー・バックスの2チームでプレイし、キャリアで25.7得点、7.5リバウンド、9.5アシストを平均。NBA史上初、かつウェストブルックの2016-17シーズンまで唯一無二だった“シーズントリプルダブル”を達成したポイントガードだ。
▼元祖Mr.トリプルダブル
1961-62のシーズントリプルダブルに加え、1964年のMVPや通算12回のオールスター、11回のオールNBAチーム選出。
究極のオールラウンダーとして数々の功績を残したロバートソンだが、ファンやメディアの間で度々巻き起こる『GOAT』(史上最高の選手)議論では、他のオールドスクール・レジェンドたちと比べて評価が低い。フランチャイズエースとしてチームを優勝に導けなかったのが、その大きな理由だろう。
ロバートソンは、キャリア11年目の1970-71シーズンにバックスの一員として念願の初優勝を達成。ただ当時のバックスの絶対的エースはカリーム・アブドゥル・ジャバーで、ロバートソンは二番手的な役割だった。
ロバートソンと同じく、前代未聞の個人成績を残しながらも、「優勝経験がない」という理由でレガシーを過小評価されることのあるラッセル・ウェストブルック。ロバートソンは、似たような境遇にいるウェストブルックにシンパシーを感じる部分があるのかもしれない。
「ウェストブルックや私をはじめ、多くのスター選手が(優勝経験がないという)批判に晒されてきたと思う。私は長年シンシナティでプレイしたが、その間に球団は有力選手を獲得するための大きなトレードを1度もしていない。NBAの歴史を振り返れば、優勝を成し遂げたすべてのチームが重要なトレードをしている。ボストン・セルティックスはビル・ラッセルをトレードで獲得した。レッド・アワーバック(当時のセルティックスのHC/フロントオフィス)は、他のチームのベテランスターターを引き抜いて、自軍のベンチユニットとしてプレイさせることに成功した名将だ。私がプレイしてきたチームは、それと同じことができなかった」
– オスカー・ロバートソン
なおロバートソンは、ウェストブルックの他に注目している選手について、レブロン・ジェームズやステフィン・カリー、ジェイムス・ハーデン、デイミアン・リラードらの名前を挙げていた。
参考記事:「New York Times」