トニー・パーカーのルーキー時代の思い出、「ダンカンが一度も口をきいてくれなかった」
13シーズン連続で50勝、5シーズン連続のサウスウェスト・ディビジョン優勝、3度のNBA制覇…。13年前にサンアントニオ・スパーズでタッグを組んで以来、数々の功績を積み上げてきたトニー・パーカーとティム・ダンカン。
今世紀のNBAを牽引してきたガード/ビッグマンコンビだが、2人の関係は最初からすべてが円滑だったというわけではなかったようだ。21日のチーム練習後のインタビューで、トニー・パーカーはルーキーシーズンの頃のちょっとほろ苦い思い出話を明かした。
ダンカン先輩…、今日こそは気付いてくれるかなぁ?
「ダンカンは1年間僕に喋りかけてくれなかったんだ」と語るパーカー。わずか19歳で単身海を渡りNBA入りしたパーカーにとって、チームの大黒柱が話してくれないというのは、なかなか辛い状況だったようだ。
「フランスからやってきた僕にとって、チームのスター選手がポイントガードである僕に話しかけてこないというのは奇妙なものだった。辛い状況だったね。だってポイントガードはチーム全員と会話するべきだろ?」
– トニー・パーカー
もともとダンカンはお喋りなイメージがないし、若い頃はもっとツンツンしてたのかもしれない。フランス語と英語の言葉の壁も多少は合あったのだろう。ただ「1年間で1度も喋らなかった」というのは、パーカーがちょっと話を盛っている気もするが…。
とにかく、ぎくしゃくした関係でスタートしたパーカーとダンカンだったが、時が経つにつれて2人の距離は少しずつ縮まっていった。パーカーは初めてダンカンが話しかけてきたときの嬉しさを今でも忘れていないという。
「すごくハッピーだった。これでスパーズに居続けられるんだ、って思ったよ。だってもしダンカンが喋りかけてくれなければ、チームにいるのは難しいだろ?奴こそがフランチャイズプレーヤーだからさ」
– トニー・パーカー
2003年に初めて2人でチャンピョンシップを勝ち取ったころに、ようやくパーカーはダンカンに気兼ねなく意見できるようになったそうだ。
このようにして2人はお互いを深く信頼するようになり、やがてNBAのベストカップルへと成長していく。
「リーグで一緒に年を重ねていくと、次第にダンカンは僕を信用してくれるようになった。特別な関係だって本当に言える。コートにいる時はすごく親しみを感じるんだ。プライベートでも、僕らはお互いにいろいろなことを乗り越えてきた。そうやって親しくなっていったんだと思う」
– トニー・パーカー
▼トニー&ティム、ハロウィンにて
▼2013ファイナル敗退後、サンアントニオの空港で1000人のファンに出迎えられ感無量の2人
▼兄と弟
▼「隣りに座れよ」とパーカーの腕を引っ張ったくせに何も喋らないダンカン
今ではダンカンに代わりスパーズを背負って立つ存在となったパーカー。「彼からのリスペクトを自分の手で勝ち取らなくてはならなかったんだ」、パーカーはそう語った。
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参考記事:「ESPN」