ポポビッチがホワイトに助言「マヌのようにもっと好き放題やれ」、ジノビリ「は?」
昨季サンアントニオ・スパーズで頭角を現し、今夏には2019アメリカ代表としてFIBAワールドカップにも出場した2017年ドラフト29位指名のデリック・ホワイト。オフェンスでは得点からプレイメイクまで何でも器用にこなせるスキルを持ち、サイズと身体能力があって守備にも強い。そして常にハードにプレイする。
理想的なチームメイトでもある万能タイプの選手だが、スパーズのグレッグ・ポポビッチHCによると、ホワイトには一つだけ欠けている部分があるという。それは「エゴ」だ。
ポポビッチHCいわく、ホワイトは“優等生すぎる”とのこと。今夏アメリカ代表チームでアシスタントコーチを務めたゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カーHCも、ホワイトについて「彼は自分が思っているよりもずっと素晴らしい選手」と評価している。
自分の実力を過信することなく、常に謙虚な姿勢で監督の指示に従うことは、チームスポーツで成功を収める上で大切なことだろう。ただ、そういった美徳を誰よりも重んじてきたポポビッチHCですら、ホワイトはもう少しセルフィッシュになるべきだと考えているようだ。
「ホワイトにはたまにこう言ってやるんだ:『私の言うことを聞くな。もっと反発してくれ。もっとやりたいようにプレイしろ。もう少しマヌ(ジノビリ)のようになれ。失敗なんて心配するな』」
-グレッグ・ポポビッチ
「やりたいようにやれ」とアドバイスするなんて、ポポビッチHCがついに丸くなったのか?それともホワイトがあまりにも従順すぎるのか?
いずれにせよ、バスケットボール史を代表する名将からそう助言されることは、3年目の若手選手にとって嬉しいことだろう。それだけ高く評価されているということだ。
ただ「マヌのように」と引き合いに出されたマヌ・ジノビリは、ポポビッチHCの発言に対して不満を感じている様子。自分の時とは違う、とTwitterで苦言を呈していた。
「どうして昔の僕には同じアドバイスをしてくれなかったのかな?フェアじゃない!僕だって失敗は怖かったさ。でも我慢できなかったんだ!」
– マヌ・ジノビリ
若手時代のジノビリは、コーチから“やるな”と言われても自分のプレイを貫き通した選手だった。
決してセルフィッシュな選手ではなかったが、トランジションでのロングパスやディフェンダーの股の間を狙うパスなど、リスキーで奇抜なプレイも多く、その頃のスパーズシステムでは逸脱した存在。ポポビッチHCが当時のアシスタントコーチだったマイク・ブーデンホルザー(現バックスHC)に、「この男をコーチできる自信がない」と愚痴をこぼしたほどだったという。
ジノビリは自分のスタイルを貫きつつも、キャリアの大部分を通してシックスマンというベンチスタートの役割を受け入れた。そうやってスパーズの一員として数々の功績を残したわけだが、ジノビリについてたまに思うのは、チームの軸としてもっと好き放題やらせていたなら、どんなキャリアを送っていただろうということ。例えば、今のジェイムス・ハーデンやルカ・ドンチッチのように常にボールを持たせる役割を与えていたなら、どれほどのスタッツを記録していただろうか?
ハーデンやドンチッチほどではないかもしれないが、全盛期のジノビリはボールハンドラーとして類まれなスキルとコートビジョン、独創性を持ち合わせた選手だったと思う。