イグダーラのクラッチ3Pでウォリアーズがファイナル第2戦勝利、シリーズイーブンへ
NBAでは現地6月2日、ゴールデンステイト・ウォリアーズとトロント・ラプターズがスコシアバンク・アリーナで2019ファイナル第2戦を対戦。ウォリアーズが前半の二桁点差を跳ね返して109-104で接戦を制し、シリーズを1勝1敗のタイに戻した。
この日の試合は第1戦と同じく、ラプターズが好守備とトランジションで先手を取り、第2Q終盤で二桁のリードを獲得。ホームチームのラプターズが早々と主導権を握ろうとする中、ウォリアーズは見事なチームワークで王者の意地と底力を見せつける。
18-0
第2Q終盤で最大11点ビハインドに陥ったウォリアーズは、スプラッシュブラザーズの連続得点で流れを変えハーフタイムまでに5点差に巻き返すと、後半に入ってから18-0のランで怒涛の猛反撃。オフェンスが大爆発したというわけではなかったが、第3Q開始5分30秒間のラプターズをFG8本中0本、5ターンオーバーの無得点に抑える素晴らしい守備で一気に試合をひっくり返した。
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第3Q開始6分でリードを13点に広げたウォリアーズは、そこからラプターズが巻き返そうとする度にショットを決めて応戦して最後までリードを維持。
ラプターズは第4Q残り5分から10連続得点で追い上げ、残り時間26秒で2点差にまで迫ったが、ウォリアーズは続くポゼッションでアンドレ・イグダーラがクラッチスリーを沈めて勝負を決めた。
ケビン・デュラント不在の中、敵地で貴重な1勝をあげたウォリアーズは、クレイ・トンプソンが25得点、ステフィン・カリーが23得点をあげた他、ドレイモンド・グリーンが17得点、10リバウンド、9アシストとあと一歩でトリプルダブルの大活躍。第1戦ではファウルトラブルのせいもあり、本来のディフェンスを発揮できなかったグリーンだが、この日はヘルプやリム守備だけでなく、試合終盤にはカワイ・レナードのガードで素晴らしい仕事をした。
他には、先発出場したデマーカス・カズンズが11得点、10リバウンド、6アシスト、アンドレ・イグダーラが8得点、8リバウンド、6アシストでそれぞれオールラウンドに活躍。イグダーラは第2Q終盤にマルク・ガソルとの衝突でフロアに倒れ込み、一時離脱する事態となったが、第3Qからは何事もなかったかのようにプレイし、残り5秒での決勝弾を含め勝利に大貢献した。
後半に入ってからのウォリアーズは、3年前の73勝シーズンを彷彿させる理想的なチームオフェンスを展開した。
第2戦の後半でチーム最多得点をあげたのは、3本のスリーを沈めたクイン・クックで9得点。グリーンとイグダーラが8得点で続き、スプラッシュブラザーズはそれぞれ7得点。さらにアンドリュー・ボガットも後半だけで6得点を稼ぐなど、非常にバランスの取れたパフォーマンスだった。
▼サイクロン
なお第2戦では、ウォリアーズが後半に決めたフィールドゴール(22本)はすべてがアシストからだった。ESPNによると、1976年にABAと合併して以降のNBAファイナルで、1ハーフのFG成功がすべてアシストだったケースは、2005年のスパーズに次いで2チーム目だという。第2戦後半にウォリアーズが見せたパフォーマンスは、バスケットボールというチームスポーツの理想像だったと言える。
怪我人続出
シリーズをイーブンに戻したウォリアーズだが、その過程でロスターにかなりのダメージを追うこととなった。
まず前半には、ケボン・ルーニーがカワイ・レナードとの接触プレイで胸部を負傷して途中退場。
続いて第4Q終盤には、クレイ・トンプソンがジャンプショットから着地した際に左足のハムストリングを痛めてロッカールームに引き下がるという最悪の事態となった。
トンプソンは試合後、怪我の状態について、「第3戦を欠場するなんて考えられない。大丈夫」とコメント。トンプソンは現地3日にMRI検査を予定しており、深刻な怪我ではないことを願うばかりだが、ファイナルの試合の正念場で途中退場しなければならないほどの痛みを伴うハムストリングの怪我が果たして2~3日で回復するのか…?
一方で敗れたラプターズは、カワイ・レナードがゲームハイの34得点、14リバウンドを記録。レナードにとって今季プレイオフ12回目の30点ゲーム。1ポストシーズンで12回以上の30得点超えを達成したのは、過去10年間でレブロン・ジェイムスとコービー・ブライアントの2選手のみとなっている。
ラプターズは他に、フレッド・バンブリートが17得点で奮闘。第1戦で大活躍したパスカル・シアカムとマルク・ガソルのスタメンビッグは試合を通してノーマークのスリーを沈めることができず、さらにカイル・ラウリーは28分の出場でファウルアウト。ウォリアーズとは正反対に、後半は完全にレナード頼りのワンマンチームと化してしまった。
▼ビッグ2人を吹き飛ばしながらAnd One
ボックスワン
第2戦のラプターズで凄く印象的だったのは、クラッチタイムでの守備のアジャストメント。第4Q残り5分、8点ビハインドという苦しい状況で、ラプターズはボックスワンのゾーンディフェンスを展開した。
ボックスワンは、1人のディフェンダーが相手チームのエースをマン・ツー・マンし、残り4人が四角形を作る形でキーを守るゾーンディフェンス陣形の一つ。学生バスケ(特に中~高校)ではたまに見るスキームだが、NBAで目にするのは極めて稀だ(今季スパーズが何度かボックスワンをやっていた気もするが、トライアングル・ツー寄りだった気もする)。
なおこの日のラプターズは、クラッチタイムにボックスワンを展開した4分間でウォリアーズを無得点に抑えた。ただNBAレベルでボックスワンを用いるのはあくまで相手チームの意表をついてリズムを狂わせる奇策的なところがあり、次は上手くいくかどうかわからない。
クレイ・トンプソンがフロアにいなかったからこそ通用した手であり(ボックスワンはどうしても3Pラインへの対応が遅れてしまう)、さらにレーンがガラ空きになるので、ドレイモンド・グリーンのようなプレイメイカーがいるチーム相手にはリスクが高すぎる。
2019ファイナル第3戦は、現地5日にオラクルアリーナで行われる。
ボックススコア:「NBA」