ベスト・オブ・2014-15: ドナタス・モティユナスのポストアップ
近年のNBAでは、スリーポイントシュートの増加と反比例するように、ポストアップからスコアするというシンプルなオフェンスパターンが減っている。アウトサイドが得意で、フロアスペースを広げられるストレッチ4的なビッグマンが重宝されるようになり、得点の第1オプションとしてポストプレーに依存するチームは少なくなった。
このトレンドは、ちゃんと数字にも表れている。NBA.comのデータによると、今季リーグでポストアップからのエクスキューションが合計オフェンスポゼッションの10%以上を占めていたチームは、30チーム中8チームのみ。10チームが7.5%にも満たなかった。これが10年前では、22チームが10%以上、全30チームが7.5%以上を記録していたという(Grantland調べ)。
(※ポストアッププレーから得点、相手のディフェンスファウル、もしくはターンオーバーに終わったポゼッションの割合)
とはいえ、アル・ジェファーソンやイネス・カンター、ブルック・ロペスなど、もちろん現リーグにも優秀なポストアップ・プレーヤーはいる。その中でも、スキルやフットワークの面では、ロケッツのドナタス・モティユナスがトップクラスだろう。
以下は、2014-15シーズンのモティユナスのポストアップをまとめたハイライト動画。パワープレーでダンクを叩きこむといった派手さはないが、基本に忠実かつクリーンで、ムーブも多彩。ビッグマン好きにはたまらないハイライトになっている。
▼パート1
ドロップステップからのベースラインフィニッシュやターンアラウンド・フックショットが最高に上手い。しかもこれらを両サイド、両手で決められるので、ディフェンスは相当苦労させられている。
今季のモティユナスは、71試合中61試合にスタメン出場し、平均でキャリアハイの12得点、9.5リバウンドを記録。残念ながら、腰の負傷により、シーズン終了直前で離脱することとなり、プレーオフで活躍することはできなかった。
▼パート2
NBAのスタッツデータによると、2014-15シーズンにポストアップから100本以上のフィールドゴールを成功させた選手の中で、モティユナスはリーグ首位のポストアップFG成功率53.4%をマーク。1ポストアップ・ポゼッションにおける得点では、リーグ2位タイの0.98を平均した。
▼ポストアップのレジェンド、アキーム・オラジュワンから学ぶモティユナス(2年前)
※ ※ ※
スイッチヘビーな現リーグでは、自分よりも小さな相手をポストアップできる能力は極めて大切だ。今後もスモールボールのトレンドは続いていきそうだが、ポストアップが重要な戦略の1つだということはこれからも変わらない。
サクラメント・キングスのデマーカス・カズンズは、地元メディアの取材に対して、ビッグマンの覇権回復に注力していく意欲を語っている。
「(NBAは)激しく変化している。俺がリーグに入ったころは、ビッグマンを軸にオフェンスを展開する、というのが普通だった。だが今はスモールボールがテイクオーバーしている。俺たちビッグは、もう少しステップアップして、状況を変えていかなければならない」
Video:「YouTube」