NBA2015-16シーズンのアワード受賞者予想
タイトルには「予想」と書いたが、本記事は現実的な予想というよりも、個人的な好みと意見に基づいた選出。
注意事項:
- チームの成功を重視(ルーキー賞以外は)
- Go Spurs
以上をふまえ、2015-16シーズンNBAの各アワード受賞者と有力候補を勝手に選んでみた。
MVP: ステファン・カリー
MVPは文句なしでステファン・カリーだ。シーズン平均得点(30.1得点)とスティール(2.1)でリーグ1位をマークし、今季通算スリーポイント成功数では昨季に自身が樹立した歴代記録を大幅に更新(402本)。それだけの本数を打ちながら、成功率はNBA史上7人目となる「50/40/90」(FG/3P/FT)を達成した。極めつけに、チームのベストプレーヤーとしてウォリアーズをNBA新記録の73勝9敗へと導いている。
もしかすると満票での受賞もありえるかもしれない。
- 2位:レブロン・ジェイムス
- 3位:カワイ・レナード
- 4位:ラッセル・ウェストブルック
- 5位:クリス・ポール
上記の4人にケビン・デュラントを加えた5選手が、今季MVPの2位レースでタイという印象。どのプレーヤーも2位に選ばれるべき理由を持っている。
レブロンは相変わらずのレブロンで、レナードはリーグトップのディフェンスを誇る勝率8割チームの中枢的選手。ウェストブルックはシーズントリプルダブル数で過去32年で最多となる快挙(18回)を達成し、CP3はブレイク・グリフィン不在のクリッパーズを50勝チームへと牽引した。デュラントも64試合連続で20得点以上という1991年のマイケル・ジョーダン(69試合)以来の記録を継続中と、誰よりも安定したパフォーマンスを続けている。
少し前なら僅差でレナードが2位だと思っていたが、レブロンのラストスパートが圧倒的だった。特に3月に入ってからの19試合では、平均26.5得点、8.3リバウンド、7.3アシスト、FG成功率57%、3P成功率39%とヒート時代並みの数字を残している。シーズン前半ではスランプ気味だったミドル~ロングレンジショットも、プレーオフが近づくにつれて大きく回復した。
新人王: カール・アンソニー・タウンズ
ルーキー・オブ・ザ・イヤーは満票でタウンズが獲得するはず。これほどインパクトが強いルーキーシーズンは、2010-11のブレイク・グリフィン以来だ。
今季のタウンズは、平均18.3得点(ルーキー1位)、10.5リバウンド(ルーキー1位)、2.0アシスト、1.7ブロック(ルーキー2位)、FG成功率54.2%をマーク。過去30シーズンでこのレベルのスタッツを記録したルーキーのビッグマンは、ティム・ダンカン、シャキール・オニール、デビッド・ロビンソン、ブレイク・グリフィン、エルトン・ブランドくらいしかいない。
▼2016オールスターのスキルズ・チャレンジで優勝
タウンズは次世代NBAのプロトタイプセンターだ。オフェンス面ではポストアップにドライブ、ミドル/ロングレンジ・ジャンプショット、ワンマンファーストブレイク、パスまですべてこなし、ディフェンス面ではペイントエリアでリムを守れるだけでなく、ペリーメーターでウィング選手をガードすることもそれなりにできる。ウルブズがウォリアーズをオラクルアリーナで破った試合のOTでは、カリー相手に素晴らしい1 on 1の守備をみせた。これでまだ二十歳というのが恐ろしい。
DPOY: カワイ・レナード
ディフェンシブ・プレーヤー・オブ・ザ・イヤーの選択が最も難しかった。もちろん昨季と同様、カワイ・レナードとドレイモンド・グリーンの二択。この2人の守備は今季リーグで群を抜いていたので、非常に甲乙つけ難い。
正直なところ、レナードよりもグリーンの方がチームディフェンダーとしての万能性が高い気もする。あのサイズ(201cm)ですべてのポジション、特にセンターを効果的にガードできる能力は極めて特殊。ウォリアーズがクラッチタイムにリーグ最強のデス・ラインアップ(スモールラインアップ)を発動して、相手を蹂躙できるのも、グリーンの存在があってこそだ。
ただ総合的なディフェンス力では、レナードが優っていると思う。グリーンほどではないにせよ、複数のポジションに問題なくスイッチできる万能さを持っており、ヘルプディフェンスやローテーション、スクリーンのくぐり抜け方も絶妙。そして何よりも1 on 1のディフェンスに強い。レナードほど、レブロンやデュラント、ポール・ジョージ、カーメロといったリーグ屈指のウィングスコアラーたちをオン/オフボールで苦しめられるエースストッパーは他にいないだろう。
今季のスパーズは100ポゼッションあたりの失点でリーグベストの96.6点を記録した。だがレナードがフロアにいる時間帯は94.7点なのに対して、フロアにいない時間帯は99.3点と、大きく数字が変わる。レナードのディフェンスは、球団史上最高成績を収めた2015-16スパーズのアイデンティティだ。
MIP: ステファン・カリー
通常は、前年度から出場時間やスタッツが大幅に伸びた選手、もしくはロールプレーヤーからエース級のプレーヤーへと成長した若手選手に贈られるMIP。すでにスーパースターだった選手が受賞したという例は過去にないが、昨季からの成長ぶりというところを重視すると、今季はカリーが最もふさわしい気がする。
▼カリーのスタッツ比較
2014-15 | 2015-16 | |
出場時間 | 32.7分 | 34.2分 |
得点 | 23.8 | 30.1 |
3P成功数 | 286本 | 402本 |
FG% | 48.7% | 50.4% |
3P% | 44.3% | 45.4% |
PER | 28.0 | 31.5 |
昨季のMVPシーズンから、今季は歴代屈指のスーパースターへとさらなるレベルアップを遂げた。実際のところ、平均10得点を20得点にするよりも、20得点を30得点にするほうが遥かに難しいはずだ。しかもこれだけ得点やシュート本数が伸びたにもかかわらず、オフェンスの効率はむしろ上昇している。こんな感じで自らの天井をぶち破った選手はみたことがない。
MIPの2位候補はブレイザーズのC.J.マッカラム、3位はスパーズのカワイ・レナード。
シックスマン賞: アンドレ・イグダーラ
近年のシックスマン受賞者を見ると、とにかく点が取れるスコアラーが選ばれる傾向にある。ただ、ベンチから攻守両方でチームの勝利に最も影響を与えた選手といえば、今季はアンドレ・イグダーラの他に思い当たらない。
スタッツは平均7.0得点、4.0リバウンド、3.4アシストと、過去の受賞者たちに比べて目立たないが、プレーメイキングやディフェンスなど数字に表れにくい部分でウォリアーズの記録更新に大貢献。イグダーラはどのラインアップでも、どのチームが相手でも安定したプレーをみせ、ベンチのプレーメーカーとして活躍しながら、必要があれば相手のベストプレーヤーをガードする。ウォリアーズの成功にとって、なくてはならない存在だった。
他のシックスマン候補は、21分の平均出場時間で12.7得点/8.1リバウンドを記録したサンダーのエネス・カンター、ベンチプレーヤーとしてリーグ最多のシーズン通算1159点をあげたナゲッツのウィル・バートンなど。
コーチ・オブ・ザ・イヤー: スティーブ・カー
73勝9敗。
2位はスパーズのグレッグ・ポポビッチHCで、3位はブレイザーズのテリー・ストッツHC。他には、マブスのリック・カーライルHCや、ホーネッツのスティーブ・クリフォードHC、セルティックスのブラッド・スティーブンスHC、ラプターズのドウェイン・ケイシーHCも候補に挙げられるべき素晴らしい指揮をみせた。
オールNBAファーストチーム
- G:ステファン・カリー
- G:ラッセル・ウェストブルック
- F:レブロン・ジェイムス
- F:カワイ・レナード
- C:ドレイモンド・グリーン
厳密にいえば、ドレイモンド・グリーンはセンターではなく、パワーフォワードとして登録されている。Basketball Referenceによると、今季のグリーンがセンターとしてフロアに立ったのは出場時間全体の15%。ただウォリアーズが無敵状態になるのは、グリーンがセンターを務めるスモールラインアップだ。
そもそもオールNBAチームの選出枠も、ガード×2/フォワード×2/センターの3項目ではなく、オールスター投票のようにバックコート×2/フロントコート×3にするべきだと思う。
オールNBAセカンドチーム
- G:クリス・ポール
- G:カイル・ラウリー
- F:ケビン・デュラント
- F:ポール・ジョージ
- C:デアンドレ・ジョーダン
オールNBAサードチーム
- G:クレイ・トンプソン
- G:ジェイムス・ハーデン
- F:ポール・ミルサップ
- F:ラマーカス・オルドリッジ
- C:デマーカス・カズンズ
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Image by Keith Allison/Flickr