SI誌の2017年NBAプレーヤーランキングTop10
米スポーツ誌『Sports Illustrated』が、2016-17シーズンのNBAプレーヤーランキングTop100を発表した。
同ランキングは、近年のパフォーマンスやスタッツをもとに、各選手が2016-17シーズンにどれだけ活躍するかを予想して順位付けされもの。怪我の状況、若手選手の成長やベテラン選手の衰えなども評価の材料となっている。今年にデビューするルーキーたちはランキングに含まれていない。
以下、10位~1位。
10.ブレイク・グリフィン
- クリッパーズ|フォワード|27歳
- 昨季のスタッツ: 21.4得点、8.4リバウンド、4.9アシスト
- 昨年の順位: 8位
- 昨季のアワード: N/A
昨季は、足の負傷やオフコートでのトラブルが原因で、レギュラーシーズンの半分以上を欠場。さらに長期の戦線離脱から復帰して迎えたプレーオフでも、4試合目に足のけがを悪化させて再び離脱と、不完全燃焼なシーズンを送ったグリフィンだが、今夏はじっくりと体を調整して、万全の状態で来季開幕に臨めるはず。それと来季はコントラクトイヤーとなるので(2017-18がプレーヤーオプション)、モチベーションも高まるに違いない。
昨季のグリフィンは、エルボーポジションでのタッチ回数が1試合平均9.6回でリーグ2位。この位置から、シューター、プレーメイカー、スクリーナー、アリウープパサーと、あらゆる役割をこなせる。また、1試合あたりの平均パス数では、フロントコート選手の中でドレイモンド・グリーンに次いでリーグ2位となる59.9回を記録した。
グリフィンのオフェンスは年々リムから遠ざかっており、昨季も合計FGアテンプトの46%がロングレンジの2ポイントショット。ラマーカス・オルドリッジやダーク・ノビツキーよりもロングツーの割合が多いものの、成功率は38.4%とやや不安定だった。
9.ポール・ジョージ
- ペイサーズ|フォワード|26歳
- 昨季のスタッツ: 23.1得点、7.0リバウンド、4.1アシスト
- 昨年の順位: 20位
- 昨季のアワード: オールスター、オールNBA3rdチーム、オールディフェンシブ2ndチーム
2014年のチームUSA合宿での悲惨な骨折から、約1年間のリハビリ期間を経て、昨季は完全復活を遂げたPG13。怪我やブランクの影響はまったく見られず、攻守の要としてペイサーズを牽引し、プレーオフ進出へと導いた。
さらに今夏はアメリカ代表としてリオ五輪に出場し、金メダルを獲得。来季もこの調子でさらなる躍進が期待される。
8.アンソニー・デイビス
- ペリカンズ|フォワード|23歳
- 昨季のスタッツ: 24.3得点、10.3リバウンド、1.9アシスト
- 昨年の順位: 3位
- 昨季のアワード: オールスター
スタッツ自体は、大ブレイクの年となった2014-15シーズンとそれほど変わらなかったが、チームの不振が影響してか、ランキングは昨年からダウン。昨季のデイビスに対する周囲の期待値が高すぎた、というのもあるのかもしれない。
機動力はビッグマンの中でもリーグ随一で、ミドル~ロングレンジも打てる。得点力はすでにスーパースタークラスで、昨季2月にはキャリアハイかつフランチャイズ最多となる59得点(20リバウンド)を記録した。何よりもまだ23歳と若く、成長の真っただ中だ。守備面でもポテンシャルをフルに発揮できれば、将来的にシャックやダンカン、オラジュワンら歴代屈指のビッグマンたちと肩を並べるような存在になれるかも。
一方で、デイビスのパフォーマンスは、プレーメーカーの良し悪しに影響される。特にジュルー・ホリデーとは相性が良さそうだったので、来季ペリカンズはどこまでロスターの健康状態を保てるか。また本人も度重なる怪我に悩まされており、4年のキャリアを通してレギュラーシーズンゲームの約2割を欠場している。
7.ジェイムス・ハーデン
- ロケッツ|ガード|27歳
- 昨季のスタッツ: 29.0得点、6.1リバウンド、7.5アシスト
- 昨年の順位: 5位
- 昨季のアワード: オールスター
昨季のハーデンは、レギュラーシーズン82試合にフル出場し、通算出場時間、フィールドゴール数、得点、リバウンド、アシスト、フリースローアテンプト数でキャリアハイを記録。まさにロケッツのオフェンスを一人で牽引する働きぶりで、29.0得点、6.1リバウンド、7.5アシストを平均した。
得点、アシスト、リバウンドの3項目すべてで、2015-16ハーデンのスタッツを上回る数字を残した選手は、1970年以降のリーグでマイケル・ジョーダン(1988-89)とレブロン・ジェイムス(2009-10)の2人のみ。シーズン通算フリースローアテンプト数837本は、1988年のマイケル・ジョーダン(860本)以降で最多記録となる。
その一方で、ロケッツは昨季開幕直後にヘッドコーチを解任するなど、シーズン序盤から大苦戦し、最終的に8位シードのプレーオフ第1ラウンド敗退と、カンファレンスファイナル進出を果たした2014-15シーズンから転落。またハーデン自身も、オフェンス面での負担が大きすぎたのか、オフボール守備での不注意が再び目立つようになり、キャリアベストなスタッツを記録したにもかかわらず、オールNBAチーム選出を逃すこととなった。
今オフシーズンのロケッツは、マイク・ダントーニHCと契約。さらにエリック・ゴードン、ライアン・アンダーソンら優秀なシューターを獲得しており、ハーデンのオフェンス力がさらに活かされそうな環境が整いつつある。
6.カワイ・レナード
- スパーズ|フォワード|25歳
- 昨季のスタッツ: 21.2得点、6.8リバウンド、2.6アシスト
- 昨年の順位: 10位
- 昨季のアワード: オールスター、DPOY、オールNBA1stチーム、オールディフェンシブ1stチーム
2年連続でのDPOY受賞。さらに守備がおろそかになることなく、オフェンス面でもついに平均20点超えと躍進。リーグ有数のツーウェイ・プレーヤーへと成長し、オールスター/オールNBAチームの仲間入りを果たした。昨季のレナードは、得点、アシスト、3P成功率、PERでキャリアハイを更新している。
レナードの次の課題は、プレーメイキングスキルの向上だろう。昨季に記録した平均2.6アシストは、レブロンやデュラント、ポール・ジョージといった他のスターウィング選手たちに比べてだいぶ低い。トニー・パーカーやマヌ・ジノビリの衰えを考慮すると、スパーズにはピック&ロールをナビゲートしてオフェンスを組み立てられる選手が不足しているので、レナードにはボールハンドラーとしての能力も伸ばしてもらいたいところだ。
後は、ティム・ダンカンがいなくなったチームで、どれだけリーダーシップを発揮できるか…。
5.ラッセル・ウェストブルック
- サンダー|ガード|27歳
- 昨季のスタッツ: 23.5得点、7.8リバウンド、10.4アシスト
- 昨年の順位: 7位
- 昨季のアワード: オールスター、オールスターMVP、オールNBA1stチーム
ケビン・デュラントの移籍により、サンダーの絶対的なエースとなったウェストブルック。昨季は、マジック・ジョンソンと並んで過去50年で最多となる18回のトリプルダブルを獲得し、キャリア初となるオールNBAファーストチームに選出された。
20得点/10アシスト/5リバウンド以上のシーズンスタッツを記録した選手は、ウェストブルックの他に、史上たった4人しかいない(オスカー・ロバートソン×5回、マジック・ジョンソン×3回、クリス・ポール)。
4.クリス・ポール
- クリッパーズ|ガード|31歳
- 昨季のスタッツ: 19.5得点、4.2リバウンド、10.0アシスト
- 昨年の順位: 3位
- 昨季のアワード: オールスター、オールNBA 2ndチーム、NBAオールディフェンシブ1stチーム
クリス・ポールとウェストブルックは、それぞれ全く別の良さを持ったポイントガードなので、どちらが上かを判断するのは極めて難しい。『SI』誌でも、4位と5位の選択に最も苦労したそうで、最終的にCP3の指揮力やディフェンス、シューティングなどを、ウェストブルックの爆発力よりも高く評価したようだ。
3.ステファン・カリー
- ウォリアーズ|ガード|28歳
- 昨季のスタッツ: 30.1得点、5.4リバウンド、6.7アシスト
- 昨年の順位: 4位
- 昨季のアワード: シーズンMVP、オールスター、オールNBA 1stチーム
シーズン平均得点(30.1)とスティール(2.1)でリーグ1位、スリー成功数402本、NBA史上7人目の「50/40/90」(FG/3P/FT)達成、73勝9敗、満票MVP…。優勝にこそ手が届かなかったものの、昨季レギュラーシーズンのカリーは、オフェンス面で歴代最高レベルのパフォーマンスを披露した。それでもSI誌がカリーを3位にしたのは、やはり上位2人に比べて、守備面がマイナスとなったからか。
それなりに優秀なシステムディフェンダーであるカリーだが、サイズがサイズだけに、レブロンやデュラントのように複数のポジションを守れるオールラウンドさがなく、またマッチアップによってはGSWディフェンスのウィークポイントになってしまうケースもある。昨季ファイナルでは、スイッチからのミスマッチを徹底的に攻められた。
2.ケビン・デュラント
- ウォリアーズ|フォワード|28歳
- 昨季のスタッツ: 28.2得点、8.2リバウンド、5.0アシスト
- 昨年の順位: 2位
- 昨季のアワード: オールスター、オールNBA2ndチーム
2014-15シーズンには右足に複数回の手術を受け、再びMVPのレベルに戻れるかどうか不安の声もあったが、昨季は怪我の影響を少しも感じさせないプレーで完全復帰。SI誌は、デュラントを来季からチームメイトとなるカリーよりも上位にランク付けした理由について、健康状態や守備力、プレーの幅の広さなどをあげている。
なお同ランキングでは、デュラント、カリーに次いで、ドレイモンド・グリーンが13位、クレイ・トンプソンが19位と、ウォリアーズから4選手が上位20位にランクイン。来季はどんなモンスターチームになるのか楽しみだ。
1.レブロン・ジェイムス
- キャブス|フォワード|31歳
- 昨季のスタッツ: 25.3得点、7.4リバウンド、6.8アシスト
- 昨年の順位: 1位
- 昨季のアワード: オールスター、オールNBA 1stチーム、ファイナルMVP
レギュラーシーズンではカリーにスポットライトを奪われていたが、プレーオフに入ると例年のごとくギアを上げてテイクオーバー。特にファイナルでは、29.7得点、11.3リバウンド、8.9アシスト、2.6スティール、2.3ブロックと、他を寄せ付けない圧巻のパフォーマンスを披露。1勝3敗で迎えた第5戦からもファインプレーを連発して、キャブスを劇的なシリーズ逆転優勝へと導き、まだまだ世界一のプレーヤーだということを存分に見せつけた。
レブロンがSI誌のランキングで1位になるのは、これで4年連続となる。
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11位~は以下の通り(カッコ内は昨年の順位):
11.ラマーカス・オルドリッジ(12)、12.デマーカス・カズンズ(14)、13.ドレイモンド・グリーン(16)、14.カイル・ラウリー(34)、15.ポール・ミルサップ(32)、16.ジミー・バトラー(18)、17.ジョン・ウォール(13)、18.アル・ホーフォード(21)、19.クレイ・トンプソン(21)、20.デアンドレ・ジョーダン(29)
21.デイミアン・リラード(24)、22.マーク・ガソル(9)、23.カール・アンソニー・タウンズ(N)、24.カーメロ・アンソニー(15)、25.カイリー・アービング(23)、26.マイク・コンリー(27)、27.ゴードン・ヘイワード(31)、28.デリック・フェーバーズ(37)、29.アンドレ・ドラモンド(35)、30.ケビン・ラブ(17)
30位以下の選手では、ダーク・ノビツキーが31位、ドウェイン・ウェイドが32位、クリス・ボッシュが37位、デマー・デローザンが46位、ヤニス・アデトクンボが48位、アンドリュー・ウィギンスが67位、マヌ・ジノビリが97位、デビン・ブッカーが100位にランクイン。トニー・パーカーやデリック・ローズ、ハリソン・バーンズ、エリック・ゴードン、ジョアキム・ノア、レイジョン・ロンドらはトップ100リストから漏れた。
スターターが全員100位以内に入ったのは、30チーム中でユタ・ジャズのみとなっている(ヘイワード27位、フェーバーズ28位、ルディ・ゴベール33位、ジョージ・ヒル56位、ロドニー・フッド85位)。
Image by Keith Allison
参考記事:「SI」