元ドラ1のディアンドレ・エイトン、4年1億3300万ドルのマックス契約でサンズ残留へ
2022年NBAフリーエージェンシー市場で目玉選手の1人だったフェニックス・サンズのディアンドレ・エイトン。今夏FA解禁初日に飛び出したケビン・デュラント移籍要求のビッグニュースの影響を受け、エイトンの去就も宙ぶらりんの状態が続いていたが、インディアナ・ペイサーズの介入により事態は急展開した。
現地7月14日、制限付きFAとなっていたエイトンはペイサーズから提示されたオファーシート契約に合意。現地メディアによると、ペイサーズからのオファー内容は4年1億3300万ドルのマックス契約だったという。
この時点でサンズに与えられた猶予は48時間。もしペイサーズのオファーシートにマッチすればエイトンを引き留められるが、何もしないまま2日が経過すれば見返りなしで先発センターのエイトンを失うことになる。
するとサンズは、契約合意報道からわずか数時間後にペイサーズのオファーにマッチ。エイトンが4年1億3300万ドルでチームに残留することが決まった。
マックス契約をずっと渋っていたサンズだが、ペイサーズのオファーにマッチするしか選択肢のない状況だった。エイトンがマックス契約に相応しい選手かはさておき、ドラフト全体1位指名のプレイヤー(しかもルカ・ドンチッチを差し置いて指名した)をたった4年で何のリターンもなしに手放すことにでもなれば、フロントオフィス総入れ替えが必要なレベルの大失態になる。
なぜサンズはエイトンとの契約交渉をここまで拗らせてしまったのか?
サンズとエイトンの関係
今夏FA解禁前から「移籍を望んでいる」と報じら続けていたエイトンだが、紆余曲折を経て最終的にサンズとマックスサラリーで再契約。サンズとエイトンの関係悪化が最初に報じられたのは、2021年のオフシーズンだった。
昨年オフでは、ルカ・ドンチッチやトレイ・ヤング、シェイ・ギルジアス・アレクサンダーら同期ドラフト組のスターたちが次々とマックスでの延長契約を締結。そんな中、チームのファイナル進出に大貢献したばかりのエイトンに対し、サンズは5年のマックス延長契約をオファーしなかった。
▼逆転決勝ダンク、2021ウェスト決勝第2戦
なおドラフト全体1位指名の選手がルーキースケールの延長契約を結べなかったケースは極めて稀。アンソニー・ベネット(2013年1位指名)以来初で、2010年以降ではエイトンが2人目となる(今回のエイトンは延長契約ではなく、FAとしての再契約)。
昨季オフのサンズとしては、エイトンがマックスに相応しい選手かどうか確信を持てず、もう1年様子を見ようと考えたのかもしれない。一方でエイトンとしては、ナゲッツ3番手のマイケル・ポーターJr.ですら手にしたルーキーマックス延長契約をサンズからオファーされなかった事実に対し、怒りを覚えたことだろう。
翌2021-22シーズンのサンズは、エイトンの去就についての不安要素を抱えながらも、球団史上ベストとなる64勝18敗の好成績を記録。レギュラーシーズンを通してチームとエイトンの軋轢は完全に影を潜めていたかに見えたが、2022プレイオフのウェスト準決勝で敗退したことにより移籍の噂が再加熱。特に30点差以上で惨敗したホームでのセミファイナル第7戦の試合後には、ヘッドコーチのモンティ・ウィリアムズ・ヘッドコーチとベンチでひと悶着あったとの報道も飛び出した。
そうして迎えた2022年のフリーエージェンシーでは、FA交渉解禁直前にデュラントがネッツからのトレードを要求。現地メディアによると、デュラントは希望の移籍先候補としてサンズとマイアミ・ヒート東西強豪2チームを列挙。そのため今オフのサンズは、エイトンとの再契約よりもサイン&トレードの道を優先した。
サンズはKD獲得のため、エイトンに加えてミケル・ブリッジズ、さらに2~3つのドラフト1巡目指名権と複数のスワップ権いった超豪華なトレードパッケージをオファーしていたはずだが、ネッツサイドは契約残り4年のデュラントの見返りとしては物足りないと感じた模様。またペイサーズともサイン&トレードで話し合いを重ねていたそうだが、なかなか合意に至らなかった。
今夏FA交渉解禁から2週間、しびれを切らせたペイサーズがエイトンにマックスサラリーのオファーシートを提示。サンズは即決でオファーシートにマッチした。
▼エイトンのPOキャリアハイ28得点
昨季のエイトンは17.2得点/10.2リバウンド/FG成功率63.4%を平均。ドンチッチやヤングのようなフランチャイズをけん引する若手スターではないが、リーグ4年目の23歳としてはマックス契約に相応しい実績とポテンシャルを披露したと言える。
なおサンズがオファーシートにマッチしたことで、エイトンは少なくとも2023年1月15日までトレード不可。今夏オフ中にサンズがKDをトレードで獲得できる確率は、限りなくゼロに近づいた。
参考記事:「NBA」