アンドレ・ドラモンド、アンダーハンドでのフリースローも検討か
デトロイト・ピストンズのオールスターセンター、アンドレ・ドラモンドは、フリースローがすごく苦手だ。キャリアを通してFT成功率が平均38.0%と、コイントスで裏が出る確率よりもだいぶ低い。そのため頻繁にハック戦略の餌食となり、チームの中心的選手にもかかわらず、第4Qのクラッチタイムでベンチに下げられてしまうことが何度もあった。
▼今季は1試合のFT失敗数でリーグ新記録を更新(23本)
ずっと練習には励んでいるそうだが、成功率は上がるどころかむしろ微妙に悪くなっており、今季は自己キャリアワーストとなる35.5%を記録した。
そこでピストンズのコーチングスタッフは、もうすぐ23歳になるフランチャイズビッグマンの弱点を何とかして改善すべく、今後はこれまでとは少し違ったアプローチでフリースロー克服に取り組んでいく様子。下投げのアンダースローを試してみることも考えているそうだ。
ピストンズのスタン・ヴァン・ガンディHCによると、ドラモンド本人もフリースローフォームの変更を検討することにオープンな姿勢をみせているという。
「アンダーハンドでのシュートやその他のアイデアに関しては、ドラモンドやジェフ(GM)と先日話し合ってみたが、全てが検討の対象になると言っていいだろう。もちろん一方的に決めてしまうわけではない。いくつかリサーチをして、有効だと思われるアプローチを選び、ドラモンドに相談して彼の意見を聞く。そこからゆくゆくのアプローチを策定していく」
「重要なのは、アンドレが我々の誰よりもオープンな考えを持っているということだ。(フリースローの)問題に取り組む方法はたくさんある。皆で協力して考えていくよ」
– スタン・ヴァン・ガンディHC
アンダースローと言えば、1970年代ウォリアーズのスーパースターでバスケットボール殿堂入り選手のリック・バリーが有名だ。バリーは下投げのフォームからキャリアFT成功率89.3%を平均、1978-79シーズンには94.7%を記録している。
▼目を閉じたままフリースローを沈めるリック・バリー
これまでにも、シャキール・オニールやドワイト・ハワードらを指導した経験があるヴァン・ガンディHCは、ハック戦略が以前よりも頻繁に行われるようになったため、フリースローを打てないことがより致命的な問題になったと語る(ESPNのQ&Aより)。
「マイアミでシャックをコーチしていた当時は、(ハック戦略は)とても稀だった。ローポストでボールを持っている時に故意にファウルされる程度。あるいは第4Qに1~2回ハックされるくらいだった。(オーランドで)ドワイトをコーチしていた時でもそうだ。第4Qに何度か見られる程度で、毎試合ではなかったし、前半にやられることは決してなかった。(ウォリアーズの)マーク・ジャクソンがドワイトに39本のフリースローを打たせた1試合以外ではね」
ドラモンドにとって最大の問題は、練習での成果を試合で発揮できるかどうかだ。ドラモンド本人も、試合以外ではフリースローを「とても上手く打てる」としており、ヴァン・ガンディHCはドラモンドの練習でのFT成功率を65~70%程度だとしている。だが実戦になると、まったく上手くいかない。
「アンドレは(試合になると)シュートフォームが崩れてしまう。たまに素晴らしい時もあるが、それを維持できない。ゴルフのようなものだよ。時々はいいスイングでボールを打てるが、熟練したゴルファーでない限り、それを続けられない。我々は、彼が(いいフォームを)続けられるようになるところまでもっていきたいと考えている。そして、それを達成するには、ただジムで練習する以上に、何か違った作業が必要になる」
「一つ確信したのは、典型的なアプローチだけでは効果がなかったということだ。単にシュートのメカニズムを矯正して、練習でたくさんフリースローを打つという方法は駄目だった。だから何か違うアイデアを試してみる必要がある。この問題については、もう少しクリエイティブにアプローチしなければならない」
– スタン・ヴァン・ガンディHC
ドラモンドが実際に来季からアンダースローに変更するかどうかは謎だが、どのシュートフォームにせよ、せめて6割の確率でフリースローを決められるようになれば、それだけで選手として大きく躍進できることになる。ハック戦略を自然消滅させるためにも、ドラモンドやデアンドレ・ジョーダンにはぜひ頑張ってほしい。
Image by Keith Allison/Flickr
参考記事:「ESPN」