歴代NBAのレジェンドすぎる記録とかスタッツとか
今年で設立から68シーズン目を迎えるNBA。67年の歴史の中で、何千人もの選手がバスケットボールの頂点を目指して戦い、数々の伝説を生んできた。今回は、その中でも特に興味深い記録やスタッツを紹介したいと思う。
1.究極のリバウンドマシン
via YouTube
歴代屈指のリバウンダーといえば、恐らくデニス・ロッドマンの名前が最初に思い浮かぶだろう。身長201cmとパワーフォワードにしては小柄な体格だったが、驚異的な身体能力とポジショニングを活かし、1991-92から1997-98の7シーズン連続でリーグのリバウンド王に輝くという前代未聞の快挙を成し遂げた。
彼のベストシーズンとなった1991-92シーズンには、1試合平均で18.7リバウンドを記録。1992年3月4日のペイサーズ戦では、自己最多の34リバウンドをマークしている。ロッドマンはとにかくリバウンドにすべてを捧げた選手で、「0得点/20リバウンド以上」というあまりにも偏った試合がキャリアを通して7回もあった。
現役時代のロッドマンについて、デトロイト・ピストンズ時代のチームメイトだったアイザイア・トーマスがとても面白い逸話を残している。
ある試合前のウォームアップ中、チーム全員が列に並んでレイアップしていたところ、ロッドマンだけがゴール近くに突っ立って、シュート練習に参加していなかそうだ。そこでトーマスが注意したところ、ロッドマンから想像を絶する言い訳が返ってきたらしい:
トーマス:
「おい、お前も参加しろよ。みんながレイアップやってんだから、お前もやらなきゃ駄目だろう」
ロッドマン:
「いや、ボールのローテーションを観察してただけだよ」
トーマス:
「なんだって?」
ロッドマン:
「そうだな、お前が打ったボールは空中で3回転してる。ジョー(デュマース)の場合は3回転半~4回転だな」
この時の会話についてトーマスは次のように語っている:
「ロッドマンはそのレベルまでリバウンドを追求したんだ。完全に別次元だよ。ボールはサイドスピンしているのか?その場合、どのようにボールがバウンスするのか?どれほどの頻度で左右のどちらに弾かれるのか…?そういった具合に、奴はチームメイト全員のシュートボール回転癖を把握してたんだ。」
「ロッドマンは科学的な領域までリバウンドを突き詰めた。あそこまでリバウンドやディフェンスについて事細かに分析できる選手をみたことがない。バスケットボールIQなら、奴は天才レベルだ。」
– アイザイア・トーマス(ソース)
ワイルドなプレースタイルやコート内外での奇行により、本能の赴くまま暴走する野生児的なイメージが広く浸透しているロッドマンだが、そのキャラクターの奥には卓越したインテリジェンスを秘めていたようだ。
2.50得点ゲーム
「50ptゲーム」(1試合50得点以上)は一握りの選手だけが到達できる、いわばスコアラーの聖域。2013-14シーズンはわずか5選手のみが50得点の壁を超えることができた。
リーグ屈指のハイスコアラーであるケビン・デュラントとカーメロ・アンソニーはキャリア通算で4回ずつ。あのレブロン・ジェイムスでさえも、11年のキャリアを通して50点以上スコアしたのは10試合しかない。
しかし今から7年前、わずか1ヶ月という短いスパンで50得点ゲームを7回も達成したとんでもないプレーヤーがいた。
しかもその内の4回は4試合連続。しかもその4試合の内、2試合で60得点以上を獲得した。
21世紀のNBAでそんな神技をやれたのは、もちろんあの男しかいない。全盛期のコービー・ブライアントだ。
▼コービー65得点、2007年3月16日ブレイザーズ戦
2007年3月16日ブレイザーズ戦での65得点目。延長戦残り40秒、3点ビハインドという場面でこのショット!!
コービーは同シーズンに31.6得点を平均して得点王に輝いたが、MVPには選出されなかった。
3.絶対的アシスト王
9度のアシスト王に輝いた元ユタ・ジャズのジョン・ストックトンは、キャリア通算アシスト数で歴代リーグ最多記録を持っている。合計15806本。これは他をまったく寄せ付けないブッチギリの記録だ。
歴代2位のジェイソン・キッド(通算12091本)は昨年引退し、3位のスティーブ・ナッシュ(10335本)もリタイアまで秒読み状態。今のリーグだと、唯一クリス・ポールだけがストックトンの記録に近づける可能性を持っているが、その道のりは果てしなく遠い。
現在クリス・ポールは29歳で、通算アシスト数が6112本(2014年7月)。ストックトンとの差は9000本以上だ。
仮にポールが後8シーズン(37歳まで)怪我することなくフル出場できたとする。その場合、ストックトンに追いつくためには、すべてのシーズンで14.77アシストを平均しなければならない。もしくは40歳まで現役を続けられたとしても、これから1試合につき11アシストを記録する必要がある。ちなみにポールが11アシスト以上を平均したシーズンは、これまでに2度しかない。
センスや実力だけでアシスト記録を打ち立てるのは不可能だ。優秀なチームメイトに恵まれることも条件のひとつで、そして何よりも長年レベルの高いプレーを続けるための徹底した体のメンテナンスが重要となる。
ストックトンはとにかくタフな選手で、19年のキャリアで欠場したのはわずか23試合のみ。40歳のシーズンにもすべての試合でスタメン出場を果たした。まさに鉄人だ。
彼のアシスト記録が破られることは当分ないだろう。ちなみにストックトンは、通算スティール数でも歴代1位記録を保持している。
4.史上最多のNBA記録数を持つ男
上記の他にもたくさんの伝説が存在するが、記録やスタッツの面でウィルト・チェンバレンの右に出る者はいないだろう。ウィルトは1960年代のリーグを圧巻した怪物センターで、彼抜きでNBAの歴史を語ることはできない。
コービーは4試合連続で50点を獲得したが、ウィルトは1シーズンを通して50点以上を平均している(1961-62)。ロッドマンのシーズン平均18.7リバウンドも至高だが、ウィルトはそれをさらに上回る27.2リバウンド(歴代最多)を平均した(1960-61)。
ウィルトが持つNBA歴代記録は合計で70個以上あるという。その中でも個人的に印象深いのは以下の3つ:
・100点ゲーム(1961-62)
1962年、ウィルトは3月2日のニックス戦で100得点を獲得した。まだスリーポイントシュートが存在しなかった時代だ。この試合はテレビ中継されなかったため、残念ながら映像が残っていない。
・シーズン平均出場時間48.5分(1961-62)
NBAの試合時間は12分×4の48分だが、1961-62シーズンのウィルトはそれを超えた。つまり1シーズンほぼフル出場し、いくつかのオーバータイムをこなしたというわけだ。
・ファウルアウト数 – 0回
ウィルトは合計14シーズン、1205試合、5万5418分のプレータイムを通して、ただの1度も6ファウルで退場した経験がない。ありえないよね!?
これほどの大記録を残したウィルトだが、14年のキャリアで優勝したのは2回だけだった。
Thumbnail by vanderwal via Flickr