カワイ・レナード、クリッパーズを選んだ理由を語る
NBAでは現地24日、スーパースター2選手の加入で一気に優勝候補チームへと生まれ変わったロサンゼルス・クリッパーズが記者会見を開催。
今夏FAの目玉選手だったカワイ・レナードと、電撃トレードでリーグを震撼させたポール・ジョージが、クリッパーズの一員として初めて公の場に姿を見せた。
▼背番号は2人ともこれまでと同じ
https://twitter.com/LAClippers/status/1154137566691520512
壇上に上がったレナードは、まずラプターズファンに向けて感謝の気持ちを語った。
「クリッパーズの話に入る前に、この場を借りてまずはラプターズのファンたちに感謝を伝えたい。僕はSNSをやっていないからね。トロントの街、そしてカナダにありがとうを言いたい。本当に素晴らしいシーズンだったし、優勝パレードも最高だった。長男の出産を担当してくれた医師たちにも感謝。彼は今生後3カ月で健康です。それからプレイオフを通して『Ka’wine & Dine』(レナードに無料で食事を提供するキャンペーン)を実施してくれたトロントのレストランにも感謝。たくさん利用させていただきました。そしてラプターズのチームメイトたち。いつでも連絡してくれ。もちろんコーチングスタッフもだ。球団、そしてトロントの街全体に感謝したい。ありがとう」
続いてレナードは「ここから新しい旅路が始まる」と新天地でのシーズンに向けた意気込みをコメント。「(レナードと)一緒にプレイするのは運命のような気がする」と語ったポール・ジョージに対し、レナードは「ポールとは常に一緒にプレイしたいと思っていた」とラブコールを返した。
「僕たちは2人とも南カリフォルニア出身。そして2人ともクリッパーズに辿り着いた。ここで何か特別なことをやれると思う。共に歴史を作り上げられると思う。スティーブ(バルマー球団オーナー)やローレンス(フランクGM)、そして優勝経験のあるドック(リバース)ヘッドコーチをはじめ、それを実現させるためのチームがここにはある。ワクワクしているよ」
– カワイ・レナード
その後記者会見はQ&Aへと移り、そこでレナードはクリッパーズを選んだ理由について触れている。
「まず、ドック(リバース)のような経験豊富なチャンピオンシップコーチの下でプレイしたいと思っていた。それからフロントオフィス。僕に対して透明性を保ってくれた。クリッパーズの目標は勝利すること。クリッパーズはファイナルに進出したことがない。だから自分たちの手で歴史を作り上げるチャンスだと感じたんだ」
https://twitter.com/LAClippers/status/1154127526786002945
レイカーズとのライバル関係について
レナードは、同じロサンゼルスに本拠地をかまえるレイカーズとの関係性についても言及。
記者から“レイカーズの影から抜け出すことの重要性”を問われた際、「バスケットボールの観点から見れば、ここ数年はクリッパーズの方がチームとして上」と発言し、スタッフやチームの番記者たちから拍手が上がる場面もあった。
「メディア次第。彼らは注目を集めるだろう。何しろロサンゼルス・レイカーズだ。何度もチャンピオンに輝いたチームだ。だからメディア次第。もし僕たちが勝ったとしても、メディアからの注目度が変わるかどうかはわからないよ。僕にとっての焦点はそこじゃない。僕はただ勝ちたいんだ。チームの目標が何であろうと、そこに向けて自分自身やチームメイトがハッピーになれることをやる。僕はその部分だけに専念したい。もしクリッパーズが優勝したとして、その時に大々的に取り上げられなかったとしても、僕は気にしないよ」
– カワイ・レナード
2012年以降のクリッパーズは、7シーズンを通してレイカーズの成績を大きく上回っている。ただレイカーズがどれだけ迷走しようとも、ロサンゼルスは常に“レイカーズの街”だ。
クリス・ポールとブレイク・グリフィンを筆頭としたロブ・シティ時代は、クリッパーズにとって球団史上最も輝いていた時期。それでも人気やメディア露出の面で低迷期のレイカーズに及ばなかった。
もしLA育ちのカワイ&PG率いるクリッパーズがこれから念願の初優勝、さらに2連覇といった大成功を収めたとしても、ロサンゼルスにおける力関係は恐らく変わらないだろう。コービーやシャック、マジック、カリームらが築き上げてきたレガシーはあまりにも偉大だ。
ポール・ジョージも“レイカーズとのライバル関係”についてコメントを求められていたが、レナードと同様に「それほど意識していない。もっと優先すべきことがある」というスタンスを取った。
「レイカーズはレイカーズ。クリッパーズにはクリッパーズのアイデンティティがある。僕たちが追いかけるのはそこじゃない。『バトル・オブ・LA』なんて意識していない。僕たちにはもっと大きな目標がある。『レイカーズの影』なんてどうでもいいよ。お互いに試合で証明するしかないんだ。僕たちにとって最も大事なのはトロフィーを掲げること。それだけだ。レガシーや“クリッパー・ネーション”はその過程で築き上げるつもりだ」
– ポール・ジョージ
チャンピオンシップよりも家族
約1時間にわたるクリッパーズの公式記者会見の後、レナードはYahoo Sportsの独占インタビューに応じ、そこで今夏FAでの決断において最もネックとなった部分を明かした。それは家族の存在だったという。
「エージェントたちと一緒にメリットとデメリットを考えた時、僕にとって大切なのはチャンピオンシップを勝ち取ることではないとわかった。大切だったのは、自分自身や家族にとってどんな未来が待ち受けているかということ。それが決め手となった。トロントが駄目だと言いたいわけじゃない。僕はただ故郷でプレイしたかったんだ」
「トロントにトレードされる前から同じ考えだった。ラプターズに移籍した時、僕の目標はチャンピオンシップを勝ち取り歴史を作ることだった。僕はトロントで役目を全うできたと思うし、そうすることで自分の望む場所に移籍する権利を手にできたと思う。僕はただ故郷でプレイしたかった。これからは、僕の家族や親戚がいつでも試合観戦に来ることができる。僕がNBAに入ってからもう8年になる。8年なんてあっという間だ。シーズンが始まると8~9カ月は家族たちとの時間が取れなくなる」
「オフシーズンは3カ月しかない。その間に家族に会いにいくか、それともトレーニングに励むかビジネスに費やすか。実際のところ、家族のための時間がほとんど取れないんだ。僕は家族を愛している。ここ5~6年はオフシーズンに帰郷して家族に会う度に、甥や姪たちが成長していた。知らないうちに彼らは会話できるようになり、そしてバスケットボールをプレイできるまでに成長していた。僕はそのどれにも立ち会えなかったんだ。『僕は今までどこで何をやっていたんだろう?』という気持ちになったよ。マトリックスの世界にいるような気分さ」
「だからバスケットボールよりも家族のことを考えた上での決断だった。バスケットボールは僕がいなくなってからもずっと存在し続ける。それならば、生きている内は愛すべき人達と時間を共有するべきだと思った。それがクリッパーズへの移籍を選んだ大きな理由の一つだ」
– カワイ・レナード
参考記事:「Yahoo Sports」