殿堂入りのティム・ダンカン、式典スピーチで恩師ポポビッチに感謝「バスケよりも大切なことを教わった」
現地5月15日、新型コロナウイルス感染拡大により延期されていた2020年バスケットボール殿堂入り式典が、マサチューセッツ州スプリングフィールドで開催された。
2020年の殿堂入りクラスでは、コービー・ブライアントやケビン・ガーネット、ティム・ダンカンら00年代のNBAを牽引したスーパースターたちが揃って選出。サンアントニオ・スパーズのグレッグ・ポポビッチHCは、同日に行われていたチームの試合を欠席して、教え子の晴れ舞台に駆け付けた。
▼ティム・ダンカン
「人生で一番緊張している」と殿堂入りスピーチを始めたダンカン。約12分間にわたるスピーチで、まず家族や元チームメイトに対する感謝の気持ちを述べると、最後に「あなたは自分の話をされるのを嫌がるだろうけど…。ごめんね、コーチ・ポップ」とポポビッチHCについて言及。所々で声を震わせながら、恩師向けた想いを言葉にした。
「僕がスパーズにドラフトされた後、あなたは僕の育った島までわざわざ足を運んでくれた。僕の友人や家族と会い、父親と言葉を交わしてくれた。当時の僕はそれが当たり前のことだと思っていた。でもそうじゃなかった。あなたが特別だったんだ」
「バスケットボールを教えてくれてありがとう。でもそれ以上に、あなたからはバスケットボールよりも大切なものを教わった。世界で起こっていることや家族の大切さを教えてくれた。心から感謝しています」
ダンカンとポポビッチHCの絆は本物の家族のように深い。この日のスピーチで特に心に残ったのは、「父親と言葉を交わしてくれた」という部分だ。
ティム・ダンカンの父親であるウィリアム・ダンカンは、2002年4月に71歳で他界(TDは当時26歳)。亡くなる直前、彼はポポビッチHCにある頼みごとをしていたらしい。それは、「息子がずっと変わらない人間でいられるよう見守り続けてほしい」という子を思う父親としての切実な願いだった。
ティム・ダンカンが引退を表明した2016年7月、ポポビッチHCはオフシーズンの取材で、かつてダンカン父と結んだ“約束”について明かしている。
「ティムの父親に言われたことを今でも覚えている。亡くなる少し前、彼は私の眼を見ながらこう言ったんだ、『息子が引退するその時まで、今と変わらない人間でいられるよう見守ってあげてほしい。君にその役割を託す』と。ある意味、ティムは変わっていない。もちろん人としては成長した。人は皆、経験と共に変わっていくもの。だが彼の本質は変わっていない。ティムは、デビューした時からティムだった。そしてキャリアを通して栄誉や成功を手にした後も、ティムはティムのままだった。少しも変わっていない」
– グレッグ・ポポビッチ
Via Spurs