マルク・ガソルがラプターズに移籍
長年に渡りチームの顔を務めたフランチャイズスターがついに移籍だ。
今季トレードのデッドラインとなった現地2月7日、トロント・ラプターズとメンフィス・グリズリーズの間でトレードが成立。ラプターズはヨナス・バランチュナス、デロン・ライト、CJ・マイルズの3選手と2024年ドラフト2巡目指名権を放出し、グリズリーズからセンターのマルク・ガソルを獲得した。
▼球団からガソルに感謝のメッセージ
「マルク・ガソルがこのチームとこの街に与えてくれたインパクトはこれからも生き続ける。そしていつの日かホームであるメンフィスに彼を再び迎え入れ、彼の背番号33番をザック(ランドルフ)とトニー(アレン)のユニフォームの隣に並べてフェデックス・フォーラムのラフターに掲げる日を楽しみにしている」
– ロバート・ペラ(グリズリーズオーナー)
2007年にドラフト2巡目で指名を受け、2008年からNBAデビューしたガソルは、グリズリーズでの10シーズン半で15.2得点、7.7リバウンドを平均。ディフェンス力やプレイメイク力、バスケットボールIQが非常に高いオールラウンドビッグで、2013年にDPOY受賞、2015年にはオールNBAファースト・チームに選出されている。ここ2~3シーズンでは守備がやや衰えていたものの、その一方でスリーポイントショットを習得し、オフェンス面でさらに万能型のセンターへと進化を遂げた。
もともとガソルをドラフト指名(2007年全体48位)したのはロサンゼルス・レイカーズだったが、グリズリーズは同シーズンに兄パウ・ガソルをレイカーズへとトレードした際に、マルクの交渉権を獲得。すごく運命的なものを感じる。マルクは高校時代もメンフィスで過ごしている。
▼ガソルのキャリアハイは2年前のラプターズ戦
今季のガソルは53試合で15.7得点、8.6リバウンド、そして自己ベストの4.7アシストを平均。シーズン最初の1カ月半はオールスターレベルの大活躍を見せていたが、12月に入ったあたりからスリーがあまり決まらなくなり失速した。もしガソル不調の一因がモチベーションなのであれば、ファイナル進出を狙えるラプターズに移ったことで大きく復調する可能性もある。
なお報道によれば、ラプターズの他にもシャーロット・ホーネッツがガソル獲得に強い関心を示していたらしく、2019年のドラフト1巡目指名権をグリズリーズにオファーしていたとのこと。もちろんプロテクションのレベルにもよるが(噂ではロッタリー保護)、これが事実であれば、再建モードのチームにとっては、ラプターズのオファーよりもホーネッツの1巡目指名権の方が魅力的だったと思う。それでもあえてラプターズをトレード相手に選んだということは、グリズリーズは球団史上最大の功労者であるガソルの希望を尊重したのかもしれない。
とにかくこれでラプターズは、フロントコートの戦力アップに成功。ドラフト1巡目指名権や主力の若手選手を失うことなく、ガソルのようなビッグネームを獲得できたのは大きい。
ローポストでの1on1なら、ガソルは今でもリーグトップクラスの守備力を持っているので、プレイオフで76ers(ジョエル・エンビード)と衝突することになれば、特に存在感を発揮するだろう。ラプターズのニック・ナースHCにとって当面の課題は、ラインアップ・ローテーションをどのように組むかだ。
ガソルがベンチスタートするのは考えにくいので、そうなればサージ・イバカとパスカル・シアカムのどちらかがリザーブに降格?今季のラプターズはイバカをセンターに置くラインアップが軸となっている。カワイ・レナードが度々バック・トゥ・バックの試合を欠場していることもあり、ラプターズのスターティング/クロージング・ラインアップは十分なケミストリーを構築できていない印象だ。そこにさらなる変化を加えるのは悪手にもなり得るのか?
ガソルがセンターで、イバカをPF、シアカムをSFにスライドさせるのも一つの手だが、そうなるとダニー・グリーンがベンチになってしまう。マッチアップ次第で臨機応変にセンター(イバカとガソル)を入れ替えるのがベストだが、それでガソルが納得できるかどうか。
なお同日には、ミルウォーキー・バックスがトレードでニコラ・ミロティッチを獲得。イーストの覇権争いがさらに面白くなった。
参考記事:「NBA」