トニー・パーカー「目標は38歳まで現役続行」
2001年ドラフト28位指名でNBAデビューし、これまで特に大きな怪我をすることもなく、成功に満ちた14シーズンのキャリアを送ってきたサンアントニオ・スパーズのトニー・パーカー。ファイナルMVPや6度のオールスター選出など数々の功績をあげ、すでにバスケットボール殿堂入りがほぼ確実視されている常勝チームのポイントガードだが、まだしばらくの間は第一線から退くつもりはないようだ。
今年の5月で33歳になったパーカーはYahoo Sportsのインタビューで、長年の戦友であるティム・ダンカンやマヌ・ジノビリのように38歳になっても現役を続けていきたいという目標を語った。
「スパーズは、僕が38歳までプレーしたがっていることを知っている。そこまでいけばキャリア20シーズン。それが僕の目標だ。今季で15年目になる。もし幸運に恵まれ、健康を維持できるのなら、20シーズンをプレーして、それから心置きなく引退したいと思う」
– トニー・パーカー
今季から新たな3年/4330万ドルの契約が始まるパーカー。Yahoo Sportsによると、すでにパーカーは、3シーズン後に再び3年の契約更新を望んでいる旨を、グレッグ・ポポビッチHCやRC・ビュフォードGMに伝えているらしく、当然ながらデビッド・ロビンソンやダンカンのようにスパーズ一筋でキャリアを終えることを希望しているという。
▼トニー・パーカー、2014-15ハイライト
問題は、パーカーがいつまでハイレベルなパフォーマンスを続けられるのかという点。シューティングやプレーメイキング力を武器にしてピークの長いキャリアを送ったスティーブ・ナッシュなどとは違い、パーカーはクイックネスに依存したスラッシャータイプのガードだ(キャリア後半はミドルレンジもだいぶ上手くなった)。通常こういったタイプのプレーヤーは、30歳を過ぎてから大きくインパクトが落ちてくる。
実際のところ、パーカーにも衰えのサインが表れており、昨季はルーキーシーズン以降で最も低い14.4得点、4.9アシストを平均。同じく、「ゴール下3フィート以内(91cm)のFG成功率」でもルーキーシーズン以来初めて60%を下回った他、Basketball Referenceのデータによると、「フィールドゴールアテンプト数あたりのフリースロー獲得率(FTA/FGA)」ではキャリア最低となる20%を記録した(※ラッセル・ウェストブルックが44.5%、ジェフ・ティーグが36%)。
これらの数字は、以前と比べてパーカーのペネトレーションからの得点力が落ちてきた証拠の一つといえる。もちろん昨季はマイナーな怪我が重なったというのも原因ではあるが…。
パーカーのシーズン別スタッツ(PPG/RPG/APG)
シーズン別PER
また今夏のユーロバスケット2015でも平均FG成功率34.4%と、いまいち精彩を欠いていた。NBA屈指を誇ったクイックネスとファーストステップが徐々に失われつつあるのは否めない。
ただパーカー本人は「体の調子はとても良かった」と語っており、FIBAでのパフォーマンスについては、「エキシビジョンゲームや大会予選でプレー時間が与えられなかったため、(本戦で)リズムに乗れなかった」としている。
「昨年は、キャリアで初めてしつこく怪我に悩まされ続けたシーズンだった。でもデリック・ローズやポール・ジョージ、ウェズリー・マシューズたち(怪我)を考えると、僕の小さな体で長年プレーしてこれたことにあらためて幸運を感じる」
バスケキャリア終盤に向けての体調管理をより徹底するべく、パーカーはプレゲームや練習でのルーティーンについてスティーブ・ナッシュに助言を求めたそうだ。ナッシュは今季からゴールデンステイト・ウォリアーズの育成コンサルタントに就任している。
「(現役時代の)ナッシュがどんなことをしていて、何が効果的だったのか知りたかった。何が役に立つのかは選手によって違う。だけど、ナッシュは僕と同じポイントガードだ。38歳でも超1流、38歳でもオールスターであり続けたプレーヤーで、寿命が長い選手の理想的な例だと思う。ナッシュは体を維持するために何をやっていたのか?」
「肝心なのは、毎日欠かさずルーティーンを行うことだと学んだよ。若かった頃は、コートに出てすぐにプレーすることができた。でもそれは昔のことで、もうそんな風にはできない。今は、たとえ調子が良い日でも、きっちりすべてのエクササイズをこなさなければならないんだ」
オフシーズンには、ハムストリングやアキレス腱の強化に取り組んできたというパーカー。今季は昨季の不振を挽回できるシーズンになると信じている。
「調子は凄くいい。今年は、昨季よりも活躍する絶好のチャンスになる」
Image by aaron vazquez/Flickr
参考記事:「Yahoo Sports」