キャブスがジョージ・ヒルをバックスへトレード放出
NBAでは現地7日、クリーブランド・キャバリアーズとミルウォーキー・バックス、ワシントン・ウィザーズの間で3チームトレードが成立。ガードのジョージ・ヒルがバックスに移籍し、マシュー・デラベドバがキャブスに復帰することが決まった。
トレードの詳細は以下の通り:
放出 | 獲得 | |
キャブス | ジョージ・ヒル サム・デッカー |
マシュー・デラベドバ ジョン・ヘンソン ドラフト1巡目指名権 ドラフト2巡目指名権 |
バックス | マシュー・デラベドバ ジョン・ヘンソン ドラフト1巡目指名権 ドラフト2巡目指名権 |
ジョージ・ヒル ジェイソン・スミス ドラフト2巡目指名権 |
ウィザーズ | ジェイソン・スミス ドラフト2巡目指名権 |
サム・デッカー |
キャブスは上のトレードに加え、自身の2021年ドラフト2巡目指名権をウィザーズの2022年ドラフト2巡目指名権とスワップしている。
今回のトレードにより、バックスは来夏FAに向けたサラリーダンプに成功した。2019-20シーズンまで契約が残っていたデラベドバとヘンソンを放出したことで、2019年のキャップスペースから約2000万ドルを削減。代わりに獲得したスミスは今季で契約終了、ヒルは来季年俸1800万ドルのうち保障サラリーが100万ドルのみ。
これでバックスは、来夏FAでタックスラインを超過することなく、主力のクリス・ミドルトンやエリック・ブレッドソー、マルコム・ブログドンと再契約を結ぶことができる(ミドルトンはかなりの高額になるはず)。もしミドルトンとブレッドソーとの再契約に失敗した場合も、サラリーキャップに約4000万ドルのスペースができるので、FAである程度の戦力補強が可能だ。
バックスにとっては、ローテーションから外れていたデラベドバ、負傷離脱中のヘンソンと交換で、バックコートを戦力強化できたのも大きい。ヒルはスポットアップスリーに強く、それほどボールを必要としないタイプのガードなので、スペーシングに重点を置く今季バックスオフェンスとの相性は良いだろう。マイク・ビューデンホルツァーHCは、スパーズ時代にアシスタントコーチとしてヒルを指導した経験もある。
サラリー削減とバックアップPG獲得を同時に達成できたとはいえ、ドラフト1巡目指名権を手放すことになったので、決して安い買い物ではない。ただキャブスへの指名権の譲渡はまだまだ先の話。今のバックスが最優先すべきことは、今後2年で優勝を狙えるチームを作り、3年後に契約満期となるヤニス・アデトクンボに再契約したいと思わせる環境を作ることだ。
ESPNによると、バックスが放出したドラフト1巡目指名権(2021年)はプロテクション付き。2021年が1位~14位保護、2022年が1位~10位保護、2023年が1位~10位と25位~30位保護、2024年が1位~8位保護となっており、2025年まで持ち越された場合は2巡目指名権2つに変わるという。がっちりと上位プロテクションを付けているので、もし将来的にアデトクンボが退団するという最悪の事態になった場合、指名権を失わずに済むかもしれない。
今回のトレードが正しい決断だったかどうかは、今季プレイオフや来夏FAでの出来栄え次第だが、方向性は間違っておらず、ローリスク・ハイリターンなギャンブルだと言えるだろう。
一方のキャブスは、サラリーキャップを売る(不良債権を引き受ける)ことで将来のアセット獲得に成功。これで本格的な再建モードに突入だ。初優勝のメンバーだったデラベドバの復帰は、ファンたちから大歓迎されるだろう。
今オフにケビン・ラブと4年/1億2000万ドルの大型契約を結び、レブロン退団後もプレイオフ進出を目指す姿勢を見せていたキャブスだが、予想以上の低迷でシーズンをスタートし、開幕からわずか2週間でタロン・ルーHCを解任。11月末には、大ベテランのカイル・コーバーをトレード放出した。今季トレードデッドラインまでにラブを放出する可能性も十分にある。
Image by Erik Drost
参考記事:「NBA」