ハーデンは3Pのドローファウル数がどのチームよりも多い
ヒューストン・ロケッツのジェイムス・ハーデンは、ディフェンダーをファウルに誘い込むのが誰よりも上手い。予測不可能な動きで相手に手を出させてフリースローを稼ぎ、効率良く得点を積み上げる。あからさまにファウルコールを狙いにいくようなプレイを好まないファンもいるが、ドローファウルは立派な武器の一つであり、ハーデンをNBAで最もガードするのが難しい選手の一人としている要素の一つだ。
ドライブで上手く体をぶつけたり、ポンプフェイクで浮かせてコンタクトを作りだしたりと、審判に笛を吹かせる方法は様々だが、ハーデンはスター選手たちの中でも、特にスリーポイントのシューティングファウルを引き出すスキルに抜きん出ている。
<以下、米スポーツブログ『FiveThirtyEight』の記事より>
今季ハーデンの3Pドローファウル数は、71試合を終えた時点で108回。2位のルー・ウィリアムズ(50回)に倍以上の差をつけるリーグダントツの首位だ(※3月21日時点でのデータ)。
▼2016-17シーズンの3Pドローファウル数
3PA | ドローファウル | |
ジェイムス・ハーデン | 647 | 108回 |
ルー・ウィリアムズ | 392 | 50回 |
カイル・ラウリー | 444 | 30回 |
デイミアン・リラード | 484 | 25回 |
ゴラン・ドラギッチ | 248 | 24回 |
ケンバ・ウォーカー | 502 | 24回 |
ニコラス・バトゥーム | 347 | 24回 |
※3月21日時点でのデータ
3Pアテンプト647回に対して108回のドローファウルなので、ドローファウルの割合は16.7%。BigDataBallのデータによれば、選手がスリーの際にファウルを受ける割合は、ハーデンの数字を除いた場合に、リーグ平均でハーデンの約10分の1にあたる1.6%だという。
1シーズンの3Pドローファウル数が108回というのはとんでもない数字で、たった1人の選手がロケッツ以外のすべてのチームを上回っている。
選手/チーム | ドローファウル数 | |
1 | ジェイムス・ハーデン | 108回 |
2 | レイカーズ | 73回 |
3 | ホーネッツ | 68回 |
4 | ラプターズ | 52回 |
5 | ペイサーズ | 51回 |
6 | ブレイザーズ | 41回 |
※3月21日時点でのデータ
ハーデンが3Pファウルをドローする主なパターンは、ジャマール・クロフォードのように空中や着地の際に足元でコンタクトを狙ったりするのではなく、ピック&ロールでディフェンダーが手を伸ばした瞬間。スクリーンをオーバーする際に少しでもハンドチェックしようものなら、ハーデンはその瞬間を見逃さない。
シュートに持っていくタイミングが絶妙で、バスケットボールIQが極めて高いレブロン・ジェイムスのような選手すらも、この技に引っかかってしまう。
3Pのドローファウルは極めて効果的な武器だ。笛を吹かれたディフェンダーはフラストレーションが溜まり、集中力を失う。試合の流れを大きく変えるプレイになることも珍しくない。ハーデンは非常に優秀なシューターなので、ディフェンダーは距離を詰めてフィジカルに守る必要があるが、このテクニックがそれをさらに難しくしている。
ただこのプレイはギャンブル性が高いのも事実で、ファウルがコールされないと、相手の速攻に繋がる悲惨な形に終わる場合が多い。
プレーオフでは審判の笛がタイトになり、よりフィジカルなプレイが許される傾向にある。その中で、ハーデンのドローファウル・テクニックがレギュラーシーズンのように効果を発揮できるかどうかは、ロケッツにとってプレーオフでの成功を左右する鍵の一つになるかもしれない。
Image by Keith Allison
参考記事:「FiveThirtyEight」